観光地域マーケティング戦略を立てる上で活用できデータの種類や特性について解説しています。膨大な情報の中からやみくもにデータを集めるのではなく、データを集める目的を定め、必要なデータを素早く洗い出すことが重要です。どんな種類のデータがあるのか、確認していきましょう。
観光地域データの種類、特性、選び方
- ①観光地域データの種類
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観光地域データには、観光地全体の状況を把握するための統計データと観光客個人やターゲット別の行動や嗜好を把握するための旅行者データの2種類が存在します。この2つの特徴を理解し、場面に応じて使い分けることで、市場環境を理解した上で戦略策定と施策実施を行うことが可能となります。
出典:観光地域マーケティングガイドブック(観光庁)より - ②統計データ
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観光統計やアンケート調査のような統計データは、観光地や旅行者全体の行動や状況の把握に向いています。そのため、広い目線から全体を俯瞰して大きな傾向や変化を捉えたい時に活用すべきデータになります。統計データは、オープンデータとして公開されていることが多く、マーケティングプロセス全体を通じて活用できる基礎的なデータとなります。
代表的な統計データ
・観光統計(官公庁・JNTO)
・アンケートデータ(官公庁・JNTO)
・調査報告書
・検索エンジントレンドデータ
・位置情報データ(RESAS)
- ③旅行者データ
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SNSデータや位置情報データのような旅行者データは、個々の旅行者別やターゲット別の行動やニーズを深掘りするのに向いています。具体的には、旅行者の訪問地点や移動経路などの詳細な行動履歴を把握したり、旅行者の趣味・思考、インサイトを理解する際に有効なデータになります。旅行者データは、一般的にオープンデータとして無償で配布・公表されていることはほとんどありませんが、ブログやSNSなどからデータを収集することが可能です。
代表的な旅行者データ
・アンケートデータ
・SNSデータ
・自地域観光アプリ利用者動画データ
・Webサイトアクセスデータ
・位置情報データ
観光地域データの取得・活用の進め方
- 戦略策定のための取得・活用すべきデータ
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観光地域マーケティング戦略の策定を効果的に進めるためには、統計データと旅行者データをバランスよく取得することが重要です。観光地全体の状況と個々の旅行者の行動・ニーズを交互に確認していくことで、妥当性の高い戦略を立てることができるようになります。
出典:観光地域マーケティングガイドブック(観光庁)より - ■環境分析
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環境分析には、自分たちではコントロールができない外部環境とコントロールできる内部環境があります。また、3C+C分析があります。自地域(Company)と他地域(Competitor)の置かれている状況を把握し、アンケートデータや調査報告書から観光客(Customer)の意識や行動に関する情報を把握することが可能です。
- ■戦略策定(STP)
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旅行者を性別や年齢、趣味や嗜好などの属性により整理することで、属性の傾向を発見することができます。また、アンケート調査により20代女性が自地域を訪問している理由を分析することで、20代女性が求めている価値を深掘りするだけでなく、市場規模の観点から今後も入込客数や消費が期待できるのかを確認していきます。さらに、20代女性のニーズをWeb上で公開されている調査報告書などを分析して、自地域の観光資源と照らし合わせて提供できる価値を検討・決定していきます。
- ■商品・サービス開発
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例えば20代女性に好まれる観光体験や観光商品をアンケートデータやSNSなどにより深掘りして、具体的な商品化につなげていきます。
各観光地域データの種類・特性
国土交通省
日本政府観光局
デジタルツールの種類と選び方
取得・収集したデータの分析を助けるデジタルツールには様々な種類があります。ツールは目的に応じて使い分ける必要があり、全てを活用する必要はありません。どのような種類と特徴があるのかご紹介します。
デジタルツール | 概要 | 活用目的 サービス例 |
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ABM(Account Based Marketing) | BtoB ビジネスにおけるターゲットの選定に用いるツール。企業ごと に取り引き履歴(商品購入履歴や購入頻度、購入回数など)を管理可能。 | ・ターゲティング ・FORCAS ・uSonar ・Marketo |
CRM(Customer Relationship Management) | ある顧客がどのような接点で自社を知り、どのようなプロセス・商談を経て自社の顧客となったのか。自社の発信した情報への反応、これまでの購入履歴、要望やクレーム、問い合わせなど、自社のコミュニケーション情報をベースに顧客を管理可能です。 | ・CRMの実態 ・Salesforce Sales Cloud ・Microsoft Dynamics 365 |
DMP(Data Management Platform) | 自社で保有する「顧客情報」や、サイトへの「アクセスログ」、「広告配信」などのデータを同一プラットフォームで管理して、データに基づくマーケティング施策の実行がしやすい環境を作る役割を果たすのがDMPです。 | ・観光地域マーケティング戦略の策定 ・ターゲットを絞った広告配信 ・Rtoaster ・Adobe Audience Manager |
SFA(Sales Force Automation) | 日本語では「営業支援システム」。営業業務の中でも商談の管理が得意なツールであり、商談の進捗状況や契約額の目安、成約頻度など、商談に関するあらゆるデータを商談ごとに環r可能。 | ・流通環境の整備 ・Remix Cloud ・Senses ・Kintone |
MA(Marketing Automation) | 見込み顧客を「顧客」にまで育てること(リードナーチャリング)を受け持ち、相手のアクションやタイミングに合わせて、適切なコンテンツをメール等で発信して、相手の興味や関心をかき立てる役割を担います。 | ・プロモーション ・Hubspot ・Marketo |