創作物を創った著作者の権利を保護
概要を理解してトラブルを防ぐ
自社で撮影した映像や画像は著作権によってその権利が守られますが、制作物の中に他者の著作物があれば、その権利も発生しています。著作物に関する知識がないことで、先方から指摘を受けて、削除する事例も発生しています。担当者の方は、著作に関するガイドラインについて一通りの知識を得ておきましょう。
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著作権とは
著作権は、創作物を創った著作者の権利を保護する法的な権利です。著作権は、文学、音楽、美術、映像、ソフトウェア、写真など、様々な創作物に適用されます。著作権は、著作者が創作物を作った瞬間に自動的に発生します。つまり、特別な手続きや登録は必要ありません。著作者には、以下のような権利が与えられます。
- 複製権:創作物を複製する権利
- 公衆送信権:創作物を公に送信する権利(例:インターネットや放送での公開)
- 公衆利用の許諾権:創作物を公に使用・利用する許諾をする権利
- 改変権:創作物を改変する権利
- 公表権:創作物を公に発表する権利
これらの権利は、著作者が創作物を制作した時点から一定期間(一般的には著作者の死後50年以上)にわたって保護されます。著作権の保護期間が終了すると、その作品はパブリックドメインになり、誰でも自由に使用できるようになります。
著作権は、創作者に対して経済的な権利を保護するだけでなく、創作物の品質や独創性を促進する役割も果たしています。また、他人の著作物を無断で使用することは著作権侵害となり、法的な問題を引き起こす可能性があります。
著作権に対する尊重と適切な利用は重要です。著作物を使用する際には、著作権の保護期間や利用条件を確認し、適切な許可を得るか、著作権法で認められた範囲内で使用することが必要です。
侵害の判断基準
著作権侵害の判断基準は、国や地域によって異なる場合がありますが、一般的な基準は以下のような要素に基づいています。
複製の要件 | 著作権侵害の最初の要件は、被告が原告の著作物を複製したかどうかです。複製とは、原作の重要な要素や表現形式を再現することを指します。ただし、類似のアイデアや一般的な表現方法は著作権の対象とされません。 |
著作権の対象 | 著作権侵害の主張には、保護される特定の著作物が存在する必要があります。例えば、文学作品、音楽作品、映画、写真などが著作権の対象とされます。 |
著作権者の権利 | 著作権侵害の主張には、原告が被告の行為によって侵害された特定の著作権者の権利が存在する必要があります。これには、著作者の複製権、公衆送信権、改変権などが含まれます。 |
実質的な類似性 | 著作権侵害の主張では、被告の作品が原告の著作物と実質的に類似しているかどうかも考慮されます。ただし、著作物のアイデアや一般的な表現方法は保護されないため、実質的な類似性があっても著作権侵害にはなりません。 |
公正利用の考慮 | 一部の法域では、公正利用(フェアユース)と呼ばれる概念があります。公正利用は、著作権者の権利を制約することなく、一般的な利益に寄与する場合に限り、著作物の一部を引用や教育、研究などの目的で使用することを認めるものです。 |
著作権侵害における損害事例
著作権侵害における賠償請求の事例は様々あります。以下に一般的な事例をいくつか挙げます。
著作物の不正利用 | 他人の著作物を許可なく使用した場合、著作権者はその利用によって生じた損害の賠償を請求することができます。例えば、音楽の著作権侵害であれば、不正に使用された曲の売上げに対する損害賠償を求めることがあります。 |
商標の不正利用 | 商標は特定の商品やサービスを識別するための標識です。他人の商標を無断で使用し、自身の商品やサービスを誤認させる場合、商標権者はその利用によって生じた損害の賠償を請求することができます。 |
著作権侵害による競争上の損害 | 著作権侵害が競争上の不正行為として認められる場合、競合他社は損害賠償を請求することがあります。例えば、他社の広告やパッケージデザインを模倣することで、消費者の混乱や競争上の不利益が生じる場合です。 |
高額な著作権侵害 | 著名な著作物や有名人の肖像権などが侵害された場合、その損害賠償額は通常よりも高額になることがあります。知名度や著作物の商業的な価値が高い場合、賠償額もそれに比例して増えることがあります。 |
商標権とは
商標権とは、企業や個人が商品やサービスを特定の商標(ロゴ、名称、記号、言葉など)で識別するための権利です。商標権は他人が同様または類似の商標を使用して混乱を生じさせることを防ぎ、商品やサービスの識別やブランド価値を保護する役割を果たします。
商標権の主な目的は、消費者が商品やサービスの提供元を識別し、信頼性や品質を期待できるようにすることです。商標権を取得することで、その商標を独占的に使用する権利が与えられます。他人が同様または類似の商標を使用することによって混乱が生じ、消費者が正確な情報を得られない状況を防ぐことが目的です。
商標権は国や地域ごとに保護され、登録や使用によって取得することができます。商標権の保護期間は通常10年であり、その後も更新することができます。商標権を侵害する行為は法的な措置を受ける可能性があり、商標権者は侵害行為の停止や損害賠償の請求をすることができます。
商標権の保護は商品やサービスのブランド価値を守るために重要です。企業や個人は独自の商標を適切に管理し、他者との商標の類似性や混同の可能性に対して注意を払う必要があります。商標登録や法的な助言を受けることで、商標権の保護と適切な使用を確保することが重要です。
商標権の判断基準
商標権侵害の判断基準は、国や地域によって異なる場合があります。一般的には以下のような基準が考慮されますが、具体的な法律や裁判例に基づく判断が必要です。
相似性の判断 | 商標権侵害の判断においては、被侵害商標と侵害行為の商標との間で相似性があるかどうかが重要です。商標の外観、音響、意味などを総合的に比較し、混乱を生じさせる可能性があるかどうかを判断します。 |
使用の類似性の判断 | 商標権侵害の判断においては、侵害行為の商標が被侵害商標と同様の商品やサービスに使用されているかどうかも考慮されます。同一または類似の商品やサービスに使用されている場合、混乱を生じさせる可能性が高くなります。 |
誤認の判断 | 商標権侵害の判断においては、一般消費者が被侵害商標と侵害行為の商標を混同する可能性があるかどうかが重要です。一般消費者の視点から商標の識別性や類似性、商品やサービスの特徴などを考慮し、混同の可能性を判断します。 |
商標の範囲の判断 | 商標権侵害の判断においては、被侵害商標の保護範囲が考慮されます。商標登録や使用によって保護されている商標の範囲を明確に把握し、侵害行為がその範囲に該当するかどうかを判断します。 |
商標権侵害における賠償事例
商標権侵害における賠償事例は、具体的なケースや地域の法律によって異なりますが、一般的な例をいくつか挙げることができます。
侵害者の損害賠償 | 商標権が侵害された場合、被侵害者は侵害行為によって受けた損害の補償を求めることがあります。これには売上減少や商標の信用損失などが含まれます。 |
利益相当額の返還 | 商標権侵害によって侵害者が利益を得た場合、被侵害者はその利益相当額を返還させることを求めることがあります。侵害者が商標を無断で使用することによって利益を得た場合、その利益は被侵害者に帰属する可能性があります。 |
販売停止や差止請求 | 商標権侵害の訴訟においては、被侵害者が侵害行為の差し止めや商標の使用停止を求めることがあります。侵害者が商標を無断で使用している場合、その使用を差し止めることによって商標権の保護を図ることができます。 |
意匠権とは
意匠権(いしょうけん)は、製品やデザインに対して与えられる知的財産権の一つです。具体的には、工業製品や工芸品、パッケージデザイン、建築物の外観など、形状や模様などの美的要素を保護する権利です。意匠権は、他の人が似たようなデザインを無断で使用することを防止し、デザイナーや製造業者の創造性や経済的な利益を守る役割を果たします。
意匠権は、形状、模様、色彩、配置など、視覚的な特徴に対して保護されます。保護されるデザインは、新規性(他の既存のデザインとの差異)、個別性(他のデザインとの区別可能性)、産業上の利用可能性を備えている必要があります。意匠権は特許庁などの知的財産機関に出願し、登録されることで法的な保護を受けることができます。
意匠権の侵害が疑われる場合、意匠権を保有する者は、侵害行為の差し止めや損害賠償の請求などの法的手段を行使することができます。意匠権を保持することで、デザインの独自性と競争力を維持し、他者による模倣や類似品の出回りを防止することができます。
意匠権の判断基準
意匠権侵害の判断基準は、一般的に以下の要素を考慮します。
相似性 | 意匠権を保有するデザインと侵害行為を行ったデザインとの間に、類似性や共通点があるかどうかが重要な判断基準です。デザインの形状、模様、色彩、配置などの要素を比較し、酷似しているかどうかを評価します。 |
区別可能性 | 意匠権を保有するデザインが他の既存のデザインと十分に区別できるかどうかが重要です。意匠権は新規性と個別性を要求しており、他のデザインとの差異が明確であることが求められます。 |
一般的な感覚に基づく判断 | 意匠権侵害の判断は、一般的な感覚や一般消費者の視点に基づいて行われます。つまり、一般の人が見た時に混同されるおそれがあるかどうかが考慮されます。 |
持ち主の意図や商業的影響 | 意匠権侵害の判断には、デザインの持ち主の意図や商業的な影響も考慮されます。デザインの持ち主がデザインを保護し、商業的に活用する意図を持っている場合、それによって生じる影響も考慮されます。 |
意匠権侵害における賠償事例
意匠権侵害における損害賠償の事例は様々ですが、以下に代表的な事例をいくつかご紹介します。
類似商品の販売による商標権侵害 | 例えば、ある企業が他社の商標を模倣した商品を販売し、その商標を持つ企業の商標権を侵害した場合、損害賠償を求められることがあります。賠償額は、侵害によって生じた損失や利益の減少、評判への影響などに基づいて判断されます。 |
複製や模倣商品の販売による意匠権侵害 | 意匠権を持つデザインを無断で複製したり、模倣商品を販売することによって、意匠権侵害が発生する場合があります。被害者は、侵害によって生じた損失や利益の減少に対する賠償を請求することができます。 |
デザインの盗用や無断使用による意匠権侵害 | あるデザイナーが他のデザイナーの作品を盗用し、自身の作品として利用する場合など、デザインの盗用や無断使用によって意匠権侵害が発生することがあります。被害者は、その行為によって生じた損失や評判への影響などに対して賠償を求めることができます。 |
著作物を取り扱う際の注意点
著作物を取り扱う際の注意点は以下の通りです。
著作権の尊重 | 著作権は著作物の制作者に対して与えられる権利であり、著作物を無断で使用することは著作権侵害となります。他人の著作物を使用する場合は、必ず著作権者から許可を得るか、法的な例外や使用許諾制度を適用する必要があります。 |
使用許諾の確認 | 著作物の利用には使用許諾が必要な場合があります。例えば、写真やイラスト、音楽などを使用する場合は、著作権者からの使用許諾を取得する必要があります。許諾の範囲や条件を明確に把握し、適切な許諾を取得するようにしましょう。 |
クリエイティブ・コモンズの利用 | 公共ドメインやクリエイティブ・コモンズなどのライセンス形態の著作物は、特定の条件下で自由に利用することができます。しかし、ライセンスや条件を確認し、適切に利用するように注意しましょう。 |
引用の適切な利用 | 著作権法では引用に関する一定の条件が定められています。他人の著作物を引用する際は、引用の目的や範囲を明確にし、出典を明示するなど適切な引用のルールを守るようにしましょう。 |
著作権の期限の把握 | 著作権は一定の期間で保護されます。作品ごとに異なる保護期間がありますので、著作物を利用する際には、著作権の期限を確認しましょう。 |
クリエイティブなアイデアとの区別 | 著作権は具体的な表現形式に対して与えられるものであり、アイデア自体は著作権の対象ではありません。他人のアイデアを参考にする場合でも、著作権の問題を避けるために、自身の独自の表現や創造を心掛けましょう。 |
お知らせ
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