これからのビジネスに必須な人材
クリエイティブマーケター
🟦 こんな方へオススメ
- 目標設定ができない
- チームで目標共有がしたい
- 何をしたらいいのか分からない
🟦 習得内容
- KGIとKPIとは
- KPIの設定方法
- KPIを戦略立案
美容サロンの採用担当者になった場合に、募集人数を集めるためには学生が応募までのステップを把握しておく必要があります。ステップごとに数値目標を設定することで、目標に近いのか遠いのかを確認することができ、このまま予定通り実行するべきか対策が必要なのかを判断できます。ここではその判断に必要なKPIマネジメントについて解説します。
KPIと設定のメリット
KPI(Key Performance Indicator)は重要業績評価指標のことで、最終目標を達成するために設けられた途中経過の達成度指標のことです。導入するメリットは下記になります。
- ◼️ 行動の明確化
-
KPIの設定は、社員一人ひとりの行動を明確にし「自分がいま、とるべき行動」や「成果の目安」をズレなく共有することを可能にします。具体的な目標を示すことで行動が明確になり、それぞれの業務がスムーズに進み、進捗も把握しやすくなるため、着実に達成スピードが上がります。
- ◼️ プロセスの可視化
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プロセスを可視化し、計画や施策の適切なマネジメントを実施することで重点的に取り組むべき課題も明確になります。KPIを設定する際は「明確性」「計量性」「実現可能性」「期限設定」といった要素を考慮し、適切に設定を行います。
- ◼️ チームの役割
-
共通目的や目標を再認識する機会になります。そのため、メンバーとの意思が統一され、組織全体のモチベーション向上が期待できます。KPIマネジメントにより浮上した課題や問題点を全員で共有し、いままで以上に迅速に解決できるようになるなど、相乗効果も生まれやすくなります。
KGIとは
KGI(Key Goal Indicator)とは、重要目標達成指標と呼ばれており、最終的なゴールを意味します。どちらも成果を測る上で欠かせない指標ですが、KPIは過程を評価するもので、KGIは結果を評価するといった違いがあります。
KPIはKGIより具体的な指標が設定されます。その上で、量や質、コストといった数値を日々計測して、達成状況を把握する必要があります。KPIで設定した目標を達成できなければ、自ずとKGIも達成できなくなってしまいます。そのため、達成状況の悪いKPIの指標に関しては、その時点で都度改善施策を打つことで、修正することができます。
KGIはゴールなので設定がしやすくなりますが、目標を達成するまでのプロセス目標であるKPIをどんな項目にするのかが、ビジネスセンスになります。この項目がずれてしまうと、いくら達成しても目標に近づくことはできないからです。
KPI設定に必要な3つのステップ
最終目標であるKGIを設定します。「売上高」「粗利益」「営業利益」を指標に設定するケースが一般的です。
KGIに達成するために顧客が認知してから申し込みや購入するまでのステップをリストアップしてみましょう。そのステップの中で数値化できるもの、自分たちの努力で改善できるもの、最終目標に影響を与えるものを選びましょう。
最後に、KPI(中間目標)の設定です。細分化したKGIを業務に落とし込み、「月間リード獲得数500件」や「商談数30件」のように、具体的な数値目標を決めていきます。KPIと一緒に、達成のために必要な業務内容もチームで共有するようにしましょう。
美容学生の就職活動について
解説する前に美容学生がどのように就職活動しているのかをご紹介します。
日本全国には、24万店舗のサロンが存在しています。ちなみにコンビニエンスストアは6万店舗ですので、美容サロンが多さが分かります。美容学校を卒業して国家資格を取得している人数は、1万7千人ほどになります。美容サロンは国家試験取得者しか働くことができないため、他業種に比べてリクルーターのスキルと知識がこれまで以上に求められます。
何かしらの理由でサロンの存在を認知した学生の次のアクションがサロン説明会になります。説明会についても様々なアプローチがあるので、リクルーターは説明会のスタイルを理解して、最適な方法を選択して準備する必要があります。
説明会に参加した学生の次のアクションがサロン見学になります。サロンの雰囲気や働く人たちの様子を見ることで、受験先を絞っていきます。サロン見学での印象が説明会で聞いていたイメージを超えていれば、受験する可能性が高くなります。
いよいよ受験先を決めた学生は、応募に必要な書類を準備してエントリーしていきます。試験途中の連絡などが遅かったり、ギリギリだった場合は、不信感を抱く原因となり、途中で辞退する場合もあります。
無事に採用試験も終了して内定通知を出しても、内定辞退が発生することがあります。友人のサロンからは内定式の連絡があったり、レクレーションのお知らせが届くなどのアフターケアを充実しているサロンが増えています。自分のサロンからは全く連絡がないことに不安を感じ、スタッフを大事にしていないと思われる要因になります。
KPIの項目を設定する
KPIを設定する前に、学生がサロンを受験するまでにどのようなプロセスを踏むのかリサーチしてください。近年はデジタルの進化やSNS等の影響により、従来の方法とは異なるアプローチも増えています。人材と予算があれば、すべてのチャンネルにアクセスして対応することができますが、限られた資源であれば絞る必要があります。ここでは、20名の採用目標を設定した場合のKPI設定を事例に解説します。
KPI:4800名
新卒対象人数に対して30%
KPI:240名
認知した学生の5%
KPI:80名
説明会に参加した学生の30%
KPI:40名
サロン見学した学生の50%
KPI:23名
受験した学生の60%
KPI:3名
内定者に対して10%
KGI:20名
KPI達成の実行計画を立案
大項目のKPIを設定したら、それぞれの具体的な中項目について検討していきます。例えば、サロン認知をしたい場合には、下記のような方法があります。
- 1)専門学校への求人送付
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内容:専門学校へパンフレットや求人票を送付
経費:郵送費、パンフレット制作費など
KPI :問い合わせ件数
- 2)専門学校への訪問
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内容:担当者が就職の先生に直接会って話をする
経費:交通費、パンフレット制作費など
KPI :学内説明会の開催数、特別授業の開催数
- 3)リスティング広告
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内容:Googleや Instagramなどの広告
経費:広告費、広告デザイン費など
KPI :リーチ数、インプレッション数
- 4)求人サイトの掲載
-
内容:求人サイトにお店の情報を掲載
経費:掲載料、撮影費用など
KPI :リーチ数、インプレッション数
- 5)ホームページ
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内容:リクルートページの公開
経費:ホームページ運用、デザイン費など
KPI :アクセス数
- 6)SNSへの投稿
-
内容:InstagramやTikTokなどに投稿
経費:場合によっては無料
KPI :再生数、保存数、いいね数、フォロワー数
- 7)求人雑誌への掲載
-
内容:求人雑誌や地元紙に掲載
経費:掲載料、デザイン料など
KPI :問い合わせ件数
- 8)ガイダンスへの参加
-
内容:合同サロン説明会への参加
経費:参加料、人件費、パンフレット制作費など
KPI :参加人数
紹介した指標以外にも、動画再生数、フォロワー数、問い合わせ数などの数値も設定することで、大項目の数字に対して原因を分析することができます。成功事例と失敗事例を蓄積していくことで、次の対策を講じたり、目標達成率が向上していきます。
KPIに対する戦略の考え方
目標を達成するための指標を設定し、その数値をクリアすることで、目標に近づていることを認識することができ、クリアしていなければ対策を検討するきっかけを与えてくれます。しかし、限られた資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の中で、すべての対策を講じるわけにはいきません。そこで、重要になってくるのが、KPI戦略に対する2つの方針です。
- 方針1)量を増やす
-
説明会であれば、ガイダンスの数を増やすことで、参加者が増えるため、サロン見学に案内できる人数も増えていきます。経費をかけて実数を優先させるかどうかです。
- 方針2)質を高める
-
実数ではなく、一つ一つのプロセスに時間をかけて、割合を高めていく方針です。こちらを選択した場合は、説明会で話す人や用意する資料などのクオリティが求められます。
KPI項目の決め方
業務におけるすべての数字は大切ですが、KPIは最終ゴールに直結した重要度の高い項目になります。そのため、マーケターがKPIを設定する際によく活用している「SMARTの法則」をご紹介します。
英語 | 詳細 |
---|---|
Specific | 具体的であること |
Measurable | 測定可能であること |
Assignable | 誰がやるのか明確 |
Realistic | 現実的であること |
Time-related | 期限が明確であること |
「SMARTの法則」によって設定されたKPIは、スタッフにも共有がしやすく、役割も明確にすることができます。測定も可能なため、達成できた理由やできなかった原因についても分析できます。
PDCAサイクル
リサーチした根拠をもとに作成した目標や実行計画においては、しっかりとした数字で現状が把握できるため、リクルートの戦略会議では、施策の成功や失敗、昨年との違いやトレンドなどを確認できます。会議を通して実行計画の改善や新たな取り組みのアイデアなどを繰り返すことで、目標達成に向けてスタッフが近づていることを実感することが重要です。
そのような会議においては、担当者以外にも選抜したスタッフを随時招集して意見を聞いたり、すでに内定を出している人たちからのヒアリング調査なども行いながら、進化させていきましょう。
まとめ
今回は、目標達成をするために必要な「KPIの設定」について解説しました。デジタルマーケティングが主流となっているため、顧客のアクションに合わせて対策をする必要があり、アプローチの種類やツールも変化が早いため、KPIの項目と数値の設定について引き続き、学んでいきましょう。