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クリエティブマーケター
デジタルネイティブと呼ばれ、生まれた時からWebやSNSが身近な生活の一部として定着している世代になります。特に消費行動については、これまでの世代とは異なる動きをしています。ここでは、Z世代がどのような価値基準を持っているのか把握し、デジタルマーケティングで訴求するヒントについてご紹介します。
レッスン内容
Z世代の年齢層は?
自然災害やパンデミック、世界情勢の激しい変動の中で生きる1996〜2010年生まれのZ世代はどんな価値観を持ち、消費行動をするのか。また、企業や事業主がZ世代とコミュニケーションするにはどうすればよいのか。
Z世代の1つ前のミレニアル世代(Y世代)は1981〜1995年生まれで、インターネットやケータイ時代に育ったデジタルネイティブの世代になります。
日本のZ世代は、リーマンショックや東日本大震災を経験しています。コロナや戦争などをSNSなどを目の当たりにしているため、将来に対して希望よりも不確実性を感じながら生きています。
Z世代の特徴
「影響を受ける人は誰か」という調査では、Z世代はインフルエンサーやタレントを上げる人が他世代に比べて多くなっています。周りの大人たちよりもSNSで検索をして情報を収集する能力が高くなっているため、Z世代にとってSNSは身近なアドバイザーであり、ブレインになっています。
- 多様性を大事にする
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全国の18~25歳の男女のうち「多様性は大事だと思う」と回答した人数は、8割を超えるものでした。多様な考え方や価値観を大切にするZ世代は,自分と異なる人種やジェンダー、人生観をもった人を受け入れる傾向があります。ダイバーシティやインクルージョンなどと表現されます。個性を大事にして違うことを尊重した日本の教育によるものだと推測されます。
- 環境問題に関心がある
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日本国内においてもSDGsについて教える機会が多くあり,6割以上が興味や関心を持っています。2011年に東日本大震災を経験したこともあり、自然との共存や社会の持続可能性を重視する価値観が根付いており,商品や企業を選択するうえでも「環境問題・社会問題に配慮していること」を判断基準にする傾向があります。
- 現実主義
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失われた20年や30年と言われるように,日本国内では世帯の年収が上がっておらず,好景気を経験したことがありません。こちらも東日本大震災の記憶から,人はいつ死ぬのか分からないことやウクライナ侵攻による世界中の動きから,将来に不安を感じているため,無駄遣いや衝動買いを好まない傾向があります。
- 競争を避け仲間を大切にする
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日本国内の教育機関では,競争による優劣が子供に与える影響が大きいと判断されたため,競争することは良くないことだと考えるようになりました。公平性や平等性を重んじる傾向があります。
- ジェンダーレスな価値観
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男性や女性に対する決めつけや偏見に囚われない傾向が強くなっています。化粧についても働き方についても男女平等であるべきだと考えています。家事や育児なども夫婦で分担したり、性別で役割を決めつけることを嫌う傾向があります。
つながりを求めるZ世代
SNSでつながった人だとリアルに会うことに抵抗が少ない傾向があり、リアルとSNSが連動することで、状況によって行き来しているイメージになります。
Z世代がSNSを見る時間は、他の世代に比べて2倍以上と言われています。Z世代はSNSの利用が中心で、身近な人だけでなく有名人もフォローしています。
SNSの立ち位置
Y世代はリアルが表でSNSが裏という価値観だったが、Z世代はSNSに表と裏が存在します。「SNSが主戦場」だからこそ、そこに表と裏があります。
「アカウントを複数持つ」のが当たり前になっていることもZ世代の特徴です。InstagramのアカウントではZ世代の88.5%が複数のアカウントを持っていると言われています。平均2−3個になりますが、なかには10個持つ人もいるようです。複数アカウントには表と裏があり、使い分けています。
Z世代には、「推し活ごとにアカウントを用意する」傾向もあります。アカウントごとに自分を演じ分けるので、「好き」の数だけ人格を存在させることができます。推しが好きではなくなったり、トライブの人間関係でトラブルがあったりすると、アカウントを消してSNSでの人格を消滅させる「ソーシャルクレンジング」を行っている場合もあります。
- Twitter(リアル情報)
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Twitterは時事ネタや新発売の情報共有をするだけでなく、交通情報や天候、花見や花火大会などのイベント情報などのリアルな情報収集に役立ちます。また、リツイート機能によって他の人が投稿した内容を自分の投稿にも転載できるため、拡散力が最もあるSNSになります。
- YouTube(情報からエンタメまで)
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テレビのバラエティやドキュメンタリーのような動画を楽しむ目的から時事ネタに関する情報番組のように、幅広い情報を仕入れるために使用しています。また、メイクやダイエットなどのハウツー動画は、身近な生活で役に立つので人気です。
- Instagram(ビジュアル)
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“インスタ映え“が流行したように、ビジュアル的なインパクトを与える情報を探す場合に活用されています。特に飲食店、観光地、フッション、メイクなどは身近な生活にすぐに役立つことができるため、フォローしているアカウントを定期的に見ています。さらに、リールと呼ばれる短い動画投稿機能が追加されたり、インスタライブでテレビのようにリアルタイムで動画を楽しむ人もいます。
- TikTok(トレンド情報)
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以前はダンスなどの動画コンテンツを楽しむアプリでしたが、短い時間でトレンド情報や商品についての紹介などが増えています。話題の新商品やイベントなどを文字ではなく映像で見たい人が情報収集のツールとして活用しています。
マーケティング戦略
ソーシャルネイティブのZ世代は少しでも嘘や演出を感じると冷めてしまう傾向があるため、ステルスマーケティングはNGです。推しが本当に好きで使って紹介しているのか、単なるPR投稿なのかを見極めています。
これまで見てきたように、Z世代のキーワードは「つながり」と「リアル」になります。ドラマや映画はノンフィクションであったとしても、作られた作品になります。SNSやYouTubeなどは、自分と価値観が同じ人や理想的な生活や姿をしている人と直接つながることで、リアルな世界で参加者の一員として感じることができます。
少しでも自分とはかけ離れた情報や内容については興味を持たれることはありません。現実から理想へと近づくために役立つ情報や商品には強い関心があります。そのため、ターゲット層が抱えるリアルな現実をリサーチして等身大の内容で共感を生み出しつながりを強化してファンになってもらうことが効果的です。
短尺動画は流行りの音楽やリメイクされた曲と相性がいいです。音楽と映像と文字のトリプル効果によって、訴求力だけでなく記憶にも留まりやすくなるので、曲選びもしっかりと行うようにしてください。
Z世代向けの消費行動
Z世代の消費行動は4つのワードに分類されています。モノによる豊かさから“ココロ“の豊かさへとシフトしており、SNSによって自分と同じ価値観の人間と繋がることが自信を持たせ、価値観を共感共有できる消費であることが重要になっています。
- 体験消費
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旅行やイベントといった時間を共有する“コト“に価値を感じる傾向があります。特定の高級商品を所持する欲求よりも時間を共有する“体験“に価値を感じる傾向があります。高額な“モノ“はレンタルしたりシェアすることが当たり前になっています。
- メリハリ消費
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自分らしさや価値観を尊重する教育により、周りと同じである必要性を感じなくなっています。みんなが持っているモノは所持しておかないと時代の流れに遅れていると感じていません。自分が価値を感じるモノにお金と時間を投資し、それ以外は節約の対象となっています。
- 間違えたくない消費
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事前の情報収集に時間を費やす傾向があります。2008年から景気が低迷している日本では年収がアップしておらず、世帯収入が増えていません。そのため親世代にも資金力がなく、金銭的な余裕がないので、失敗したくない心理が働きます。
- 応援消費(イミ消費)
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2011年の東日本大震災をテレビなどで目の当たりしており、社会や他者への貢献意識が強く、社会的・文化的な価値に共感してお金を使う傾向が強くあります。YouYubeや SNSによって、テレビでは報道されなかった世界中のニュースがスマートフォンに表示されるため、SDGsなどの取り組みにも強い関心を持っています。
- ブランドに興味がない
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自分らしさなど個性を重要視する教育の影響や景気の後退により、ブランド出なくもて自分の価値に合った商品を選択する傾向が強くなっています。
- 推し活にお金をかける
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Z世代の90%以上に「推し」がいて、70%以上が「推し」に影響されて何かを新しく始めています。推しの影響を受けてモノを買う「推しゴト消費」も活発です。推しが身に付けている服、コスメ、持ち物などを特定し、同じものを持ちたくて消費をしている場合もあります。年代別に人気のあるインフルエンサーをこまめにチェックすることで、ヒントがたくさんあります。
Z世代の就職価値観
Z世代の「職場選び」では「好きなことができる環境かどうか」によって決めている人がY世代よりも多くなっています。たとえば、「趣味も仕事も両立したい」「仕事が終われば好きなことをしたい」と考えて職場を選択する。「好き」に影響されて人生を決めている傾向が強いので、好きになるように仕掛けることが重要になります。
- 誰と一緒に働くのか
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仲間との一体感を重要視するため、会社を選ぶ基準としては、一緒に働く社員や社内の雰囲気を決め手の一つにしています。会社説明会で話す人柄が会社全体の印象に直結しているため、会社のスペックよりも対応した人で決定する傾向があります。
- ワークライフバランス
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仕事が人生に置き換える時代もありましたが、生きていく中で仕事もプライベートも充実させることが重要であると考えている傾向が強くあります。残業時間、有給休暇、育児休暇、休憩時間の様子など、時間に関する捉え方を重要視しています。
- パラレルキャリア
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上場企業において45歳から早期退職を促されたり、突然雇用形態が変更されたりするニュースを見ており、一つの会社に勤め続けることがリスクであると考えています。所得も上がりにくいこともSNSで拡散されているので、副業などに興味を持っている人が多くいます。
- スキル習得に積極的
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パラレルキャリアに象徴されるように、これからの時代はテクノロジーの変化によって仕事を失うリスクを感じています。一つの会社で長く務めるのではなく、会社を転々とすることで経験値を積むことの方がいいのではないかと思っています。
まとめ
環境の変化だけでなくテクノロジーの恩恵によって,Z世代はスマートフォンを活用した情報収集や購買行動をしていることがわかります。対面ではなく,デジタルマーケティングでウェブやSNSで集客や販売をする場合は,彼らの行動を把握して,様々な計画を立てることが重要になります。
マーケティングの際は、Z世代と他の世代との違いを把握し、意識的にZ世代に刺さりやすいスタイルで展開していくことが大切です。