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🟦 こんな方にオススメ
- 質問項目の作り方が分からない
- 本音を引き出したい
- 定性調査で新たな発見を期待している
🟦 習得内容
- 本音で話せない3つの理由
- インタビュースタイルの特徴
- インタビューの質問事例
調査対象者一人ひとりの意見を直接聞くことができるのがインタビューです。数値では表現できない個々の考えを知ることができ、より質の高い意見を得ることもできるので、思わぬ改善点などに気づくこともできるのがメリットです。インタビュー方式の特徴はもちろん、本音を引き出すポイントについて解説していきます。
レッスン内容
本音で話せない3つの理由
1)社会的圧力 | 社会や文化の中で、特定の態度や意見が求められ、それに沿わない本音を言うことが難しい場合があります。個々の違いを受け入れる雰囲気がないと、人は自分の本音を言いづらく感じることがあります。 |
2)人間関係の維持 | 他者との関係を維持するため、時には本音を言わずに妥協することが求められます。遠慮や優しさからくる配慮が、本音を抑える一因となることがあります。 |
3)自己保護 | 自分の本音を言うことで、他者からの批判や非難を恐れる場合があります。過去の経験からくるトラウマや傷つきやすさが、本音を隠す理由となることがあります。 |
安心感を与える姿勢
1)挨拶と笑顔 | 積極的で友好的な挨拶や笑顔は、相手に対する好意を示し、リラックス感を生み出します。 |
3)姿勢と目線 | 姿勢や目線は自信と信頼を表現する重要な要素です。相手をしっかりと見つめ、開かれたポジティブな姿勢を保つことが大切です。 |
4)共感と理解 | 相手の立場や感情に共感し、理解を示すことで安心感が生まれます。相手が話す際には、アクティブリスニングを心掛けましょう。 |
5)予備知識とリサーチ | インタビュー対象について事前にリサーチし、相手のバックグラウンドや経歴に興味を示すことで、相手は尊重され、安心感を感じやすくなります。 |
6)フレンドリーなトーン | 対話の際には、穏やかでフレンドリーなトーンを心掛けましょう。適切なタイミングで軽いユーモアも取り入れることができます。 |
7)自尊心を満足させる | 質問に対する回答に対して賞賛する言葉を何度も伝えることで、自尊心が満たされて、心を開いてくれるようになります。 |
オープンマインド
オープンマインドとは、新しいアイディアや異なる意見、他者の視点に対して受け入れる態度を指します。具体的には、先入観や固定観念にとらわれず、柔軟で寛容な考え方を持つことを意味します。オープンマインドの持ち主は、新しい情報や異なる見解に対して好奇心をもち、検討する姿勢を持っています。
オープンマインドの人は、自らの信念や意見を持ちつつも、他者の異なる意見を尊重し、議論や対話を通じて新しい洞察を得ようとします。これにより、個人や社会が成長し、発展する土壌が生まれます。
オープンマインドな態度はコミュニケーションや問題解決においても重要であり、他者との円滑な対話や協力関係を築くのに役立ちます。
インタビュー空間
本音を引き出すためには最適なインタビュー空間を用意することも重要なポイントになります。これらの要素が揃うことで、被インタビュー者はより本音を語りやすくなり、対話が深まります。
1)プライバシーと機密性 | インタビューの内容が個人的で機密性がある場合、十分なプライバシーと機密性の確保が必要です。被インタビュー者が話す内容に対する安心感が生まれることが重要です。 |
2)リラックスできる雰囲気 | 穏やかでリラックスできる雰囲気があると、被インタビュー者は自分の本音を打ち明けやすくなります。対話のトーンや照明、家具などがくつろぎを促進する要因です。 |
3)時間的なゆとり | 適切な時間枠が確保されていると、被インタビュー者は急ぎの感じを受けずに自分の意見や感情をゆっくりと表現しやすくなります。 |
インタビュースタイルの特徴
概要 | グループインタビューは、複数の対象者を集めてインタビューを行う手法です。4~8人程度で1つのグループを作り、モデレーターと呼ばれる司会者が調査テーマに沿って質問を投げかけ、自由に発言してもらいながら各自の声を拾い上げます。おおよそ実施時間は120分程度です。 |
ポイント | 属性や価値観が近い人同士で話し合うグループインタビューでは、意見交換が活発になりやすいという特徴があります。他の人の発言を受けて同調・反対意見を述べたり、自分のエピソードを思い出すなどの相乗効果が期待できるため、幅広い意見・ニーズや新たな気づきにつながる情報を収集しやすいです。 |
用途 | ・コンセプトや広告の評価 ・パッケージデザインの印象 ・顧客の実態調査 ・ユーザーの特性把握 |
概要 | デプスインタビュー(DI:Depth Interview)は、対象者とインタビュアーが1対1の面談形式で行う調査手法です。「深層面接法」とも呼ばれ、1人あたり30~90分程度の時間をかけてじっくりと対話をしながら対象者の話を掘り下げていきます。 |
ポイント | 比較的本音を引き出しやすい手法であるため、対象者のパーソナリティや価値観、意思決定の過程・検討軸などを詳細に把握しやすいのが特徴です。また、多くの人の前では話しづらいデリケートな内容・テーマについても意見を収集することが可能です。 |
用途 | ・行動の背景やインサイトの把握 ・購買プロセスの把握 ・新商品などの感想 ・ライバル会社との比較 |
特徴 | 対面の場合は、表情や体全体の動きが見れるので、対象者の雰囲気や人となりがわかりやすく、商品に触ってもらったり、実際に使用した場合の感想などをリアルに感じ取ることができます。また、その様子を伺いながら的確なタイミングで質問を投げかけることができます。 |
注意点 | 対面にした場合は遠方の方や子育て中の方など、参加できる人が制限されることです。調査対象により近い方が精度の高い内容をヒアリングできるため、商品を使った印象などをヒアリングしたい場合は事前に郵送して何日か使用してもらい、オンラインで回答を得るなど、状況に応じて判断してください。 |
特徴 | インターネット環境とカメラ・マイク付きのパソコンがあれば実施できるため、遠方の人や子育て・介護などで会場まで出向くことができない人にも話を聞くことができます。グループやデプスの両方に対応することができます。 |
注意点 | 対面インタビューに比べると会話のリズムが取りづらいため、話が盛り上がりにくい点があります。また、電波障害などによって会話が途切れたり、完全にシャットダウンすることがあります。 |
インタビュー前の準備
インタビューは限られた時間で行われ、相手の集中力にも限界があります。必須で聞きたい質問と、時間があれば聞きたい追加質問とに分けておきます。質問形式については一問一答式がオススメです。人は過去の記憶を物語のように思い出すので、時系列で質問するなど順番や構成にも配慮しておきます。質問については代替案も用意しておきましょう。
誰にインタビューを依頼するのかは、インタビューで確認したい内容に応じて選別する必要があります。まだ使ったことない見込顧客、初めて利用してくれた新規顧客、何度も利用しているリピーターでは、同じ製品でも視点が異なります。見込み顧客には製品に期待しているイメージ、新規顧客には使用した感想やギャップ、リピーターには製品の魅力などをヒアリングすることができます。
初対面であれば警戒される場合も多いため、第一印象がいい人を選定する必要があります。ヒアリング力を併せ持っていれば問題ありませんが、傾聴スキルによって調査結果に大きく影響します。実際に質問するインタビュアーと会話を安全かつ軌道に乗せるためのモデレーターの2名体制がおすすめです。
室内であれば誰に聞かれない安心感がある一方で緊張感も与えます。広い空間で周りに人がいることで開放感がある一方で周りに聞かれいないかどうか警戒心や落ち着かない場合もあります。質問する内容や人物に応じて場所を設定したり、食事をしながらリラックスして実施する方法などを検討しましょう。
調査には時間と労力がかかるため、何度も実施することができません。一度で精度の高い内容をヒアリングするために、質問に対する内容を事前に用意してもらうためのアンケートを準備して配信する場合があります。新商品などの印象などであれば、その場でのリアクションやアドリブの方がリアルな意見が聴衆できるので、調査内容に応じて判断してください。
スマホのボイスレコーダーアプリでも可能です。ICレコーダーとスマホの2つがあれば、途中で切れてしまったり、録音ボタンを押したつもりがうまく押せてなくて録音されていなかった場合のリスクを回避することができます。
一般的なインタビューの流れ
こちらはインタビューをする方の属性を把握していますが、対象者はどんな人が把握できていません。出身など自己開示をして、人間関係の構築を図ります。
事前に了解を得ていると思いますが、「何のための」インタビューなのかを改めて説明しておきましょう。メールや電話だけでは説明不足な可能性があるからです。インタビューを実施する前に目的や今回のインタビューがどのように使用されるかなどもきちんと共有して、協力したいと思ってくれるように皆さんの思いを伝えてください。
机に置いてあるレコーダーが不意に録音し始めると、相手に不信感を抱かれる場合があります。念のため了承を得てから回すようにしましょう。「インタビューの内容を正確に記録するためにレコーダーを使用してもよろしいでしょうか?」とお願いすれば、よほどのことがない限り断れることはありません。
インタビューの様子をリアルに伝えるために、参加してくれた方の顔写真を掲載したりインタビューに答えてくれている様子を動画で紹介する場合があります。当日いきなり依頼されると身だしなみを気にされてNGになることがあるため、掲載などの予定があることを想定して事前に許可を得るようにしてください。
対象者の緊張をほぐすために、世間話や近況についてさりげなくアイスブレイクを入れてスタートしていきます。いきなり本題に入るよりも軽めの質問から過去のことを思い出しながら、本題の質問していくことで、経験に基づいたリアルな情報を収集することができます。質問していく中で5回ほど深掘りを繰り返すと、核心の答えに辿り着くと言われています。
インタビューが終わったら、貴重な時間を割いてくれた対象者の方に感謝のお礼を伝えます。インタビューした内容を記事にする場合は、今後の流れについて説明しておきましょう。
過去の記憶を思い出させる方法
昔のことを思いだそうとしても、思い出せないという方々が多いと思います。何もないところから思い出すのは難しいですが、何かきっかけがあると思い出しやすくなります。ここでは昔のことを思い出すための質問方法を紹介します。
- 嬉しかったこと
- 悲しかったこと
- 楽しかったこと
- 苦しかったこと
- 褒められたこと
- 情熱を注いだこと
- 影響を受けた人や出来事
- 先生
- 友人
- 教室
- 掃除
- 部活
- 夏休み
- 就職活動
- 初任給
- 文化祭
- テレビ番組
- ベストセラーの本
- ヒットした映画や音楽
- 話題になったドラマ
- 流行語
- 芸能人
- YouTube
- TikTok
- 入学
- 卒業
- 入社
- 初仕事
- プロジェクト
- 結婚
- 出産
- 潮風
- 焼きたてのパン
- 香水
- 竹刀
- 部屋
- 柔軟剤
- 旅行先
- 卒業した学校
- 元勤務先
- 実家
- 遊園地
- 工場
- 農園
- 山や海
質問項目の構成
質問項目をランダムに作成するのではなく、大中小の項目に整理しながら関連する項目を抽出することで、漏れを防ぐことができます。
製品の購買実態を調査したい場合
大項目(実態) | ・行動 ・要因 |
中項目(行動) | ・購入時間 ・購入場所 ・購入方法 ・購入頻度 |
小項目(要因) | ・購入理由 ・競合商品 ・購入目的 |
インタビューの質問事例
使用状況に関する質問
- 使用期間
- 使用頻度
- 使用する場所・シーン
- 使用方法
- 使用量
- 使用する順番
- 商品の収納場所
- 使用している時の気持ち
- 使用後の気持ち
- 商品の満足度とその理由
価値観に関する質問
- 〇〇に対するイメージ
- 対象者が思う〇〇のポジティブな点/ネガティブな面
- 対象者にとって〇〇はどのような存在か
- 〇〇がなくなったらどう思うか
購買プロセスに関する質問
- 購入前の悩みやニーズ
- 商品の認知経路
- 購入前の商品に対するイメージ
- 商品に興味を持ったきっかけ
- CMやWeb広告の接触状況
- 商品に関する情報収集方法(インターネット、テレビ、口コミなど)
- 使用したデバイス(パソコン、スマホなど)
- 購入場所
- 比較検討した商品
- 選定時に重視したポイント
- 購入の決め手
パッケージなどの評価質問
- 第一印象
- 魅力を感じた点とその理由
- 魅力を感じなかった点とその理由
- (複数案ある場合は)より魅力を感じた案とその理由
- 商品の特徴にふさわしいか
- 自分に合っていると思うか
- 使いたいと思うか
商品に対する感情質問
- 〇〇を初めて使用した時、どんな気持ちになりましたか?
- どんな気分の時に〇〇を使いたくなりますか?
- 〇〇に触れた/持った時の感触はどうでしたか?
- 〇〇を使用している時はどんな気分ですか?
- 〇〇を使い終わった時の気分はどうでしたか?
- 〇〇が無かったとしたら、どんな気持ちになりますか?
購入要因に関する質問
- どのようなきっかけで〇〇を使い始めましたか?
- 〇〇に興味を持ったきっかけとして、友人や有名人などの影響はありましたか?
- 〇〇を購入する決め手となった情報は何ですか?
- 〇〇を購入するにあたって、誰かに助言をもらいましたか?
- 〇〇に興味を持ってからすぐに購入したのですか?
用途に関する質問
- 初めて使用した場所はどこですか?
- 初めて使用した時、あなたは何をしていましたか?
- 使用した後に何をしましたか?
- 誰かと一緒に使うことはありましたか?
使用する前の感情質問
- 背景や要因で感じたのは、何らかの出来事の影響がありますか?
- 〇〇を使用する前は、そのような気持ちになったことはなかったのでしょうか?
- 気持ちが変わるきっかけとなった情報や出来事はありましたか?
質問方法のテクニック
事例 | ・商品Aの印象をお聞かせください ・どのような時に商品Aを使いたいと思いましたか 相手の回答を制限せず、具体的な疑問に対する相手の考えを聞き出す形式です。クローズドクエスチョンに比べてどのような回答が返ってくるかがわかりにくいため、さまざまなシチュエーションを想定しておく必要があるでしょう。 |
特徴 | オープンクエスチョンは回答の幅が広く、回答者が自由な内容で回答できます。相手の意思だけではない詳細な情報を引き出せるため、一つの質問で多くの情報が得られます。また、得られた情報の中から更に深掘りして質問するなど、会話を繋げやすいメリットもあります。 |
注意点 | 注意点は、相手が回答を考える負担が大きいことです。質問への回答内容はもちろん、質問者との関係性をふまえて回答するため、信頼関係が築けていない相手であれば、必要以上に気を使わせてしまい、相手が疲れてしまうケースもあるでしょう。 |
事例 | ・商品AとB、どちらが好きですか ・商品Aを使ってみたいと思いましたか こちらから提示した選択肢から回答をもらう質問形式となっています。商談のクロージングにおいては、このクローズドクエスチョンを繰り返すことで商談成立への道筋をつくっていくケースが多くあります。 |
特徴 | こちらから提示した選択肢から回答をもらう質問形式のため、回答者が回答しやすく、やりとりが円滑に進みます。回答をすぐに出してもらえる場合が多いため、テンポよくやりとりを進めることができます。 |
注意点 | クローズドクエスチョンは相手の回答の選択肢を限定する質問方法です。あまりにも長くクローズドクエスチョンを続けていくと、相手は尋問を受けているかのように感じ、ストレスになってしまう可能性があります。また相手に「自分が話したいことを話せない」「この人は私の話を聞いてくれない」と不信感を抱かれてしまう可能性もあるため、使い方には注意が必要です。 |
会話を始める際、いきなりオープンクエスチョンを行うと、相手はどこまで答えていいかわからず回答しにくくなる可能性が高くなります。まずは答えやすいクローズドクエスチョンから始め、より具体的な内容をヒアリングするためにオープンクエスチョンにシフトしていくと良いでしょう。
インタビュー全体の注意点
なぜ」という聞き方は行動の理由や背景を尋ねる際に便利ですが、多用すると対象者は問い詰められている気持ちになることがあります。
そのため、次のように言い換えることをおすすめします。
「なぜ、この商品を購入したのですか」
言い換え例①:この商品を購入した時に考えたことをお聞かせください
言い換え例②:この商品を購入する決心をした時に、どのようなことが影響したか教えてください など
インタビュー調査は率直な感想や意見を述べてもらうことが重要なので、対象者を都合よく誘導するのはNGです。
具体例を以下に挙げます。
- 質問する際に、先入観(バイアス)を与えるような情報を付け加える
- 仮説通りに話が展開するように介入する
- こちらに有利な話をしてくれる対象者にばかり話を振る
モデレーターは聞き役に徹し、話の流れを意図的に変えないよう注意しましょう。
まとめ
今回は初対面の対象者が本音でインタビューに答えてくれるためのスキルと知識を学びました。インタビューはアンケート調査や統計データにはない「定性調査」ができる最も効果的な方法になりますが、誰に何を誰がどのようにヒアリングするのかによって、調査結果に大きく影響されます。質問項目は販売者がするのか製造者がするのかによっても変わってきます。そして、核心をついた質問は当事者でなければ出てきません。内部スタッフのイタンビュースキルを磨いて、様々な定性調査を行い、今後の商品開発や販路拡大の活用していきましょう。