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クリエティブマーケター
レッスン
01.ファネルとは
マーケティング戦略におけるファネルの役割は、顧客の購買プロセスを理解し、そのプロセスを最適化することです。ファネルを使用することで、マーケターは顧客の興味を引きつけ、関心を維持し、最終的には購買に至るまでのステップを明確に把握できます。これにより、適切なタイミングで適切なメッセージを送り、顧客のニーズや状況に合わせたアプローチを提供することが可能になります。
ファネル(funnel)はマーケティングや営業の分野でよく使われる概念で、潜在顧客が最終的に購入に至るまでのプロセスを段階的に示したものです。ファネルの形状がじょうご(漏斗)に似ているため、この名前が付けられています。
潜在顧客が商品やサービスの存在を知る段階。広告やコンテンツマーケティング、SNSなどを通じて認知度を高めます。
商品やサービスに対する興味を持ち始める段階。詳細な情報を提供することで興味を引きます。
潜在顧客が商品やサービスを他の選択肢と比較し、検討する段階。口コミやレビュー、詳細な商品説明などが役立ちます。比較されている商品やサービスはどこなのか。何を比較しているのかを把握して、優位性をしっかりとWebやSNSに明記しておく必要があり、この価値観は時代や環境に応じて変化するため、定期的に見直す必要があります。
購入の意欲が高まり、具体的な行動を検討する段階。クーポンや限定オファーなどで購買意欲をさらに高めます。欲しいと思わせるためには、商品やサービスを購入してハッピーになったユーザーの声や表情を伝えることです。また「残りわずか」や「期間限定」などのスノッブ効果を取り入れたり、キャンペーンなどの特典を設定することで、優柔不断の人が決断しやすくする仕掛けなどが必要です。
実際に購入が行われる段階。購入プロセスのスムーズさが重要です。申込から決算までの手続きが簡単であることが重要です。面倒さが購買意欲を失うきっかけになるので、前回入力した必要情報については何度も入力させないシステムにしておきましょう。
購入後も顧客として継続的に関わる段階。アフターサービスやメンバーシッププログラムなどで顧客満足度を維持します。 ビジネスが継続する条件とし「2割のロイヤルカスタマー(常連客)」があります。新規客は常連客の5倍以上の労力(時間と資金)が必要だと言われています。リピーターを増やしたり維持するために仕掛けも必ず用意しておきましょう。
02.ファネルの種類と特徴
ファネルは購買行動モデルとも呼ばれており、広報担当になった方が最初に聞かされる言葉に「アイドマ」があります。これもファネルの一種になり、ファネルは時代やテクノロジーの進化により変化していきました。
新しい技術が登場したことで古い流れが消えたわけではありません。これまで開発されてきたファネルのモデルについて解説しています。興味がある方はご覧ください。
時代や環境の変化により進化した
【ファネルの種類】
消費者が一つの商品やサービスを知ってから実際の購入に至るまでには、一定の心理状態や行動を経ています。その一連の流れが分析され、さまざまなモデルとして提唱されています。
03.カスマージャーニーとの違い
カスタマージャーニーとファネルは顧客の行動や購買プロセスを理解するための異なるアプローチです。
- ◼️ファネル
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ファネルは、顧客の購買プロセスを段階的に捉えるモデルです。意識、興味、検討、行動の段階に分かれており、顧客が商品やサービスを認識し、関心を持ち、最終的に購入に至るまでのステップを表現します。
- ◼️カスマージャーニー
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カスタマージャーニーは、顧客が商品やサービスとの関わりを通じて経験する全体の旅を表現します。購買前から購買後のサポートまでの全体的な体験を捉え、顧客がどのように製品やサービスと関わるかを示します。これはファネルよりも顧客の視点に重点を置いており、一連の接点や体験を通じて顧客の感情や行動を理解しようとします。
カスタマージャーニーはより包括的であり、顧客が商品やサービスとの接点を通じて経験する全体のプロセスを捉えます。一方、ファネルは主に購買プロセスに焦点を当てており、顧客の行動を特定の段階に分けて理解しようとします。
顧客が購入するまでのストーリー
【カスタマージャーニー】
ターゲットの中から特定の顧客を設定し、商品を購入するまでの道のりをマップ化することで、顧客とのタッチポイントを最適化する施策ができ、さらに成果を伸ばすことができます。
04.ファネルの特徴
ファネル分析のメリットは以下の通りです。
顧客の行動を理解する | ファネル分析により、顧客が商品やサービスを発見し、関心を持ち、購入に至るまでの過程を理解できます。これにより、顧客のニーズや行動をより良く把握し、それに基づいたマーケティング戦略を構築できます。 |
効果的なリソース配分 | ファネル分析は、どの段階で顧客が最も離脱しやすいかを特定するのに役立ちます。そのため、リソースを最も必要とする段階に重点を置くことができます。 |
改善の機会の特定 | ファネル分析により、改善の機会が特定されます。たとえば、ある段階で離脱率が高い場合、その段階での顧客体験を改善することで、離脱率を減らすことができます。 |
成果の測定と追跡 | ファネル分析は、マーケティング活動の成果を測定し、追跡するのに役立ちます。各段階での顧客の変化を追跡し、マーケティング戦略の効果を定量化することができます。 |
戦略の改善 | ファネル分析に基づいて、マーケティング戦略を改善できます。顧客の動向やニーズに応じて戦略を調整し、より効果的な結果を得ることができます。 |
05.ファネルの注意点
ファネルにはいくつかのデメリットや注意点があります。
単純化されたモデル | ファネルは顧客の購買プロセスを単純化したモデルであり、実際の状況を完全に反映していない場合があります。顧客の行動は複雑で多様であり、ファネルだけで全体を捉えることは難しい場合があります。 |
非線形な購買プロセス | 一部の顧客はファネルモデルに従って段階的に進まず、非線形な購買プロセスを経験する場合があります。そのため、ファネルだけで顧客の行動を完全に把握することは難しい場合があります。 |
データの欠落 | ファネル分析には、各段階での顧客のデータが必要です。しかし、特定の段階でのデータが欠落している場合や、不正確な場合があるため、分析の信頼性に影響を与える可能性があります。 |
顧客の個別性 | ファネルは顧客を一般化して捉えるため、個々の顧客のニーズや行動を完全に理解することができません。顧客の個別性や多様性を考慮する必要があります。 |
長期的な視点の欠如 | ファネルは通常、短期的な視点で購買プロセスを捉えるため、長期的な関係や顧客のライフサイクルを考慮しない場合があります。長期的な成功を見据えるためには、より広範な分析が必要です。 |
06.ファネルの事例
新規オープンするヘアサロンのオーナーがファネルを活用する場合、以下のような具体的な事例が考えられます。
SNS広告 | FacebookやInstagramでターゲット顧客(地域の若年層やビジネスマンなど)に対して広告を出す。 |
ウェブサイト | 魅力的なデザインのウェブサイトを作成し、サロンの特徴やサービスを紹介する。 |
ブログ記事 | 美容に関する役立つ情報を発信するブログ記事を作成し、検索エンジンでの認知度を高める。 |
この段階では、できるだけ多くの潜在顧客にサロンの存在を知ってもらうことが目的です。SNS広告やSEO対策を施したウェブサイト、ブログ記事などを活用して認知度を広げます。
ビフォーアフターの写真 | SNSやウェブサイトに実際の施術例(ビフォーアフターの写真)を掲載。 |
スタッフ紹介 | ウェブサイトやSNSでスタッフのプロフィールや得意なスタイルを紹介。 |
動画コンテンツ | ヘアケアのコツやスタイリング方法を紹介する動画を作成し、YouTubeやSNSで公開。 |
この段階では、潜在顧客がサロンに興味を持つようにします。実際の施術例やスタッフの紹介、動画コンテンツなどでサロンの魅力を伝えます。
口コミとレビュー | 美容情報サイトに顧客の口コミやレビューを掲載。 |
特典付き初回予約 | 新規顧客向けの初回割引や特典を提供し、試してもらいやすくする。 |
詳細なサービス説明 | ウェブサイトに各メニューの詳細な説明と料金を明記し、わかりやすくする。 |
この段階では、顧客がサロンを選ぶ際の判断材料を提供します。口コミやレビューの活用、初回特典の提供、サービス内容の詳細な説明などが効果的です。
オンライン予約システム | ウェブサイトやSNSから簡単に予約できるオンライン予約システムを導入。 |
期間限定オファー | 季節やイベントに合わせた限定オファーや割引を提供。 |
パーソナライズされたメッセージ | 過去の利用履歴を基に、顧客にパーソナライズされたメッセージやオファーを送る。 |
この段階では、顧客が実際に予約や来店を決断するように促します。オンライン予約システムの導入や限定オファーの提供、パーソナライズされたメッセージの送信などが効果的です。
受付・決済プロセス | 来店時の受付や決済がスムーズに行えるシステムを導入。 |
アフターサービス | 施術後のフォローアップメールやアンケートを送信し、顧客満足度を確認。 |
この段階では、顧客がストレスなく購入(施術)できるようにします。受付や決済プロセスをスムーズにし、アフターサービスを充実させることが重要です。
リピート割引 | 次回予約時に使用できる割引クーポンを提供。 |
メンバーシッププログラム | ポイント制度や特典を用意したメンバーシッププログラムを導入。 |
定期的なコミュニケーション | メールマガジンやSNSで定期的に情報発信し、顧客との関係を維持。 |
この段階では、顧客が再び来店するように促します。リピート割引の提供やメンバーシッププログラムの導入、定期的なコミュニケーションが効果的です。
これらのファネルの各段階を意識してマーケティング活動を行うことで、ヘアサロンの認知度を高め、興味を持たせ、評価してもらい、最終的に来店やリピートにつなげることができます。
07.ファネルの具体的な作り方
ヘアサロンのオーナーがファネルを新しく作る際の手順を以下に示します。
ターゲット顧客の作成 | 性別、年齢層、ライフスタイル、好み、ニーズなどを詳細に記述します。 |
市場調査 | 地域の競合他店の分析や顧客のニーズを把握するためのアンケートを実施します。 |
ターゲット顧客を明確にすることで、ファネルの各段階で適切なアプローチが可能になります。顧客のペルソナを具体化することで、マーケティング施策の精度が上がります。
認知段階の設計 | SNS広告 ウェブサイト ブログ フライヤー配布などを計画。 |
興味段階の設計 | ビフォーアフターの写真や動画 スタッフ紹介などのコンテンツを作成。 |
評価段階の設計 | 口コミサイトへの登録 初回割引や特典の提供 詳細なメニュー説明を整備。 |
意欲段階の設計 | オンライン予約システムの導入 期間限定オファーの作成 パーソナライズされたメールの送信。 |
購入段階の設計 | 受付・決済システムの整備 アフターサービスの提供。 |
リテンション段階の設計 | リピート割引 ポイント制度の導入 定期的なメール SNSでの情報発信。 |
各段階で顧客に提供する価値やアプローチ方法を具体的に設計します。段階ごとに異なるマーケティング戦略を取り入れ、顧客を次のステージへ誘導する流れを作ります。
コンテンツの作成 | SNS投稿用の写真や動画 ブログ記事 スタッフプロフィールなどを準備。 |
ツールの設定 | オンライン予約システムやメール配信システムの設定。 |
口コミサイトへの登録 | 美容情報サイトにサロンの情報を登録。 |
必要なコンテンツやツールを事前に準備しておくことで、スムーズな運用が可能になります。特に、視覚的に魅力的なコンテンツや使いやすいツールが重要です。
キャンペーンの実行 | 設計した各段階のマーケティング施策を実施。 |
データ収集と分析 | ウェブサイトのアクセス解析 広告の効果測定 予約数や来店数のデータを収集。 |
フィードバックの収集 | 顧客からのフィードバックを収集し、施策の効果を評価。 |
ファネルを実行し、効果を測定することで、改善点を明確にできます。データに基づいた分析を行い、必要に応じて施策を調整します。
施策の見直し | データとフィードバックに基づき、各段階の施策を見直し。 |
改善策の実行 | 改善点を反映した新たな施策を実行。 |
継続的なモニタリング | 継続的にデータをモニタリングし、ファネルの最適化を図る。 |
ファネルは一度作成して終わりではなく、継続的に改善することが重要です。市場の変化や顧客のニーズに対応しながら、最適なマーケティング戦略を維持します。
この手順を踏むことで、新規オープンするヘアサロンのオーナーは効果的なマーケティングファネルを構築し、ターゲット顧客を効率的に集客・リテンションすることが可能になります。
お知らせ
スマートフォンが普及して、様々なアプリが開発されたことで、世界中の商品やサービスを手軽に入手することができるようになりました。そのため、顧客にとって選択肢の幅が広がりましたが、企業側としては顧客に存在を知ってもらうことが困難な環境になりました。
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