これからのビジネスに必須な人材
クリエティブマーケター
WebやSNSがマーケティングのツールとして活用されることによって、対面せずに商品やサービスを購入する頻度が多くなってきました。そのため、お客様のニーズを聞きながら臨機応変に対応することができないため、細かく顧客設定する“ペルソナ“の考え方が必要になります。設定した顧客の行動と心理状態を可視化したカスタマージャーニーを作成して、的確な情報やタイミングを設計します。
レッスン内容
ペルソナとは
ペルソナマーケティングはペルソナ(persona)を用いて、より具体的なユーザー情報を分析し、施策に反映させるマーケティング手法です。ペルソナとは、ペルソナ&カスタマ・エクスペリエンス学会が公表している定義によると、「企業が提供する製品・サービスにとって最も重要で象徴的な顧客モデル」です。例えば勤務先、職種、居住地、家族構成までも設定した架空の人物になります。
ペルソナを設定する目的
なぜペルソナという考え方が必要になったのか。それは、商品を購入するプロセスがWebやSNSだけで完結する頻度が高まっているからです。対面であれば、お客さまのニーズを聞き取りながら臨機応変に対応することができますが、WebやSNSなどのデジタルマーケティングでは、一方的に取捨選択の判断がされていきます。
WebやSNSにはスペースに限りがあります。誰にでも当てはまる情報ではインパクトが弱くなり、情報がたくさんありすぎると、文字数が増えるため見てもらえなくなります。そこで登場した考え方が“ペルソナ“になります。特定の架空人物を作り出し、その人物の好みに合わせたコンテンツやサービスに集中することで、購入率(コンバージョン)を高める効果が期待できます。
ペルソナのメリット
関係者全体で共有されたターゲット設定があれば、メンバー同士の認識のすり合わせが円滑に進みます。「これはペルソナに適合しているから大丈夫」、「これはペルソナから外れているからNG」といった判断ができるようになり、確実に意思決定が迅速になります。同時に、顧客に発信するコンテンツにも統一感が生まれので、その精度は高くなるでしょう。
- ◼️ 顧客の視点になる
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顧客設定を丁寧に作り込むことによって、人格を持った存在としてペルソナをイメージしやくすなります。その結果得られるのが「顧客目線」です。自社の商品やサービスを押し付けるような売り込みでは、顧客を満足させることはできません。ペルソナ作成による顧客目線を獲得するということは、そういったひとりよがりなマーケティングを回避し、顧客が本当に望んでいるコンテンツの提供へと導きます。
- ◼️ 顧客への理解を深まる
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ペルソナを作成していく過程で、顧客への理解が深まります。どういった人間で何に興味を示し、どんな趣味嗜好を持っているのか。あるいは、どんな悩みごとを抱えていて、何に苦労しているのか。以上のような事柄を明確にすることで、顧客に提供すべきコンテンツも定まってきます。そのうえ、マーケティングにおける課題やその解決策も見つけやすくなります。
- ◼️ スタッフ同士でイメージを共有
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ペルソナを関係者全体で共有することは、コンテンツ発信を円滑にします。部門の垣根を越えて、複数の人間がコンテンツマーケティングに携わる場合、ターゲット像が明確に定まっている必要があります。メンバー各々がそれぞれ異なるターゲット像をイメージしていては、デメリットばかりでほとんど何の効果もないからです。認識にブレが生じる、あるいは意思決定に時間がかかる、といった問題が生じてしまい、第一優先すべき顧客の満足が達成できなくなる恐れがあるのです。
ターゲットとの違いは?
一方でターゲットとは、年齢や性別、趣味や思考、購入頻度や来訪回数などの属性を区分けしたものになり、東京に住んでいる25歳女性などがターゲットになります。以前はテレビや雑誌による広告しかなかったので、中小企業でもお金を出して広告すれば認知されましたが、現在はSNSやウェブによって情報量が多いため、大手や膨大な広告費を持った企業に勝つためには、顧客を絞った戦略が効果的になっています。
ペルソナの作り方も色々と紹介されていますが、最も有効的なのは常連さんになります。現在の常連さんから話を聞いて行くことで、商品やサービスに関する期待や要望などを発見することができます。そのことをSNSなどで発信することで、同じようなことを求めている人を集客することができます。常連さんの意見や評価は、ユーザーだからこそ気づけた大事なアイデアになります。
さらに新たな客層を開拓したい場合は、別のタイプの常連さんをリサーチしていきます。そこから名前や勤務先、職種、居住地、家族構成、使用アプリやサービスなどを定義して、架空の人物像を作り上げ、その人だったらどんなことを好むのかを考えていきます。ここで重要なのは、常連認定を適当な人にしないことです。同じ属性にするのか、全く別の属性にするのかによってコンセプトが変わってきます。男性向けと女性向けではお店の作り方やデザインも異なるからです。
それであれば、新たなコンセプトを立ち上げて、別の場所でお店をオープンさせる方が成功します。同じ商品やサービスでも小さい子供連れであれば騒いでも大丈夫であったり、高齢夫婦であれば静かにゆったりと過ごせることが価値になります。
ペルソナマーケティングとは常連客を設定して、その常連客を思い浮かべながら、商品やサービスはもちろん、認知させるために設定した常連客が興味を持ちそうな内容をアップしていく手法になります。
ペルソナの構成要素
商品やサービスを購入するのは生きた人間です。それゆえ「理想の顧客像」も生きた人間に極力近づけていかなければなりません。特定の人物像を、その生活が簡単にイメージできるくらいに絞りこみましょう。つまり、20代女性というような大雑把なくくりのターゲット像ではなく、詳細なデモグラフィックを設定します。
- ◼️ 属性
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名前 リアルさを出すために設定します 年齢 10代・20代・30代・40代・50代など 性別 男性・女性・レズビアン・ゲイ・バイセクシャ・トランスジェンダー 職業 勤務時間・仕事内容・悩みなど 収入 100万以下・300万以上・500万以上・1000万以上 学歴 高卒・短大卒・専門卒・大卒など 家族構成 一人暮らし・実家暮らし・小さい子供・ペット 居住地 都心・田舎・駅近・都道府県 - ◼️ 行動特性
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趣味 ドライブ・読書・映画鑑賞・釣り 余暇の過ごし方 ショッピング・読書・釣り 習慣 ジョギング・食事制限・ヨガ 買い物をする方法 店舗・オンライン 利用しているSNS Instagram・YouTube 好きなサイトやアプリ ゲーム・健康・お金 情報源の種類 テレビ、ネット 所持している端末 Android・iPhone - ◼️ 価値基準
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性格 温厚・明るい・おとなしい・負けず嫌い 行動スタイル みんなと行動・一人で行動 商品の魅力 みんなと同じ物・他の人が持っていない物
以上のように統計的特性のほか、顧客の価値観やライフスタイル、人柄にまで踏み込むことによって、よりリアルな人物像を描き出します。さらに、「人生や仕事のゴール」、「現在の状況や悩み事」などのエピソードを設定するとペルソナの生きた姿が浮かび上がってきます。
ペルソナの作り方
- 1)データ収集
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まずは既存顧客の情報などから、定量的なデータを抽出して、グループに分けます。データとして有効なのは、年齢や性別、居住地、購入している商品・サービス、個数、購入額・利用金額など様々な挙げられます。
- 2)顧客へのインタビュー
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仕分けしたグループの中から、代表的な顧客を選んでインタビューをしましょう。
既存顧客のうち、売り上げの80%を締めているのが上位2割の顧客と言われています。したがってこの上位2割を理想的な顧客とし、グルーピングが難しい場合は、この理想的な顧客にインタビューしてみましょう。(理想的な顧客を発見するのがペルソナの最終目的。) - 3)現場の人間から意見を聞く
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インタビューやアンケートには十分な時間やコストが必要です。リソースの許す限り行った方がいいですが、もしも不可能な場合は、直接顧客と関わっているセールスパーソンの意見を仰ぎましょう。別の角度から情報を収集することによって、新たな顧客のニーズや特性が判明する可能性があります。
- 4)データ分析
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Googleアナリティクスのようなアクセス解析ツールを用いれば、自社サイトを訪れているユーザー情報を確認することができます。年齢や性別といったユーザー属性から、地域、情報収集の仕方、あるいはほかにどんなサイトやコンテンツに興味(インタレスト)を持っているかなどを把握することが可能です。
- 5)ペルソナのアウトラインを作る
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まずはアウトラインから入るようにしましょう。これまでの情報に基づいて、ペルソナの骨組みを書きだします。調査した様々な人間の「共通する特徴」を抽出していきましょう。多くの項目で重なる部分があると思います。
- 6)ペルソナの作成・ストーリー付与
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骨子が完成したら、いよいよ肉付けです。この作業によってターゲットの輪郭が浮かび上がり、具体的な人物像が生まれます。必要なのは背景やストーリー。生身の人間なら当然あるべき、エピソードを設定しましょう。
- 7)ペルソナの検証
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作成したペルソナの検証は必ずおこなうようにしてください。
セールスパーソンに確認してもらい、リアリティのある人物像になっているかチェック。また、作成したペルソナが実際にどれくらい存在するのか、アンケートなどで検証してみるのもいいかもしれません。その結果、完成度が低いと判明した場合は、もう一度情報収集から再考したほうが良いでしょう。 - 8)運用・見直し
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ペルソナが完成したら、実際に運用していきましょう。ペルソナを基軸としたコンテンツマーケティングを行って様子をみます。ここで注意すべきなのは、顧客の動向は常に変化していくということです。ペルソナを作った段階で想定していた人物像と現実が食い違ってくるのは、ケースとしてよく見受けられます。それゆえに、顧客と接しているセールスパーソンと話し合いながら、ペルソナの設定を定期的に見直すようにしましょう。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、顧客がある商品やサービスを購入するまでのプロセスを可視化するためのフレームワークです。カスタマージャーニーを作成することで、顧客がどのような経路を通って購入するのか、その過程でどのような問題や課題があるのかを理解し、顧客の体験を改善するための施策を立てることができます。以下は、一般的なカスタマージャーニーの作り方の手順です。
- どのようにして商品を知ったのか
- 商品の第一印象
- 商品のどこに魅力を感じたのか
- 類似品について調べたか
- 商品についてSNSで調べたか
- どのような評価が多かったか
- 購入を検討している商品
- 購入しない理由
- どのようにして商品を知ったのか
- 商品の第一印象
- 商品のどこに魅力を感じたのか
- 類似品について調べたか
- 商品についてSNSで調べたか
- どのような評価が多かったか
- 購入を検討していた商品
- 購入した最終的な決め手
- どのようにして商品を知ったのか
- 商品の第一印象
- 商品のどこに魅力を感じたのか
- 類似品について調べたか
- 商品についてSNSで調べたか
- どのような評価が多かったか
- 購入を検討していた商品
- 購入した最終的な決め手
- 他の商品を試したか
- リピートしてくれる理由
調査をした結果から商品やサービスを購入する傾向にある年齢層、性別、地域、所得層などのターゲット層を割り出します。ターゲットの中から今回の商品をメインで販売したターゲット層を確定させてください。その際に売上目標や市場や需要があることもリサーチしておく必要があります。
ターゲットを絞ったら、調査した顧客の中からペルソナ候補を選抜します。異なる4つのタイプがオススメです。選抜した4人を参照にしながら、商品を使用しているシチュエーションや動機などを議論しながら、より細かいペルソナ設定を行います。
ペルソナを設定したら、ペルソナに近い人物に商品等を送付したりSNSなどで呼びかけて、どのような反応があるのかを調査しておきます。
顧客が商品やサービスに関する情報を得るために利用する各種メディアやコミュニケーションツールなど、タッチポイントと呼ばれる接触点を設定します。アンケートやインタビューで得た情報から設定したペルソナの行動特性を参考にし、インターネット広告、ポスター、イベント、口コミ、SNSなどを設定します。
顧客が商品やサービスを購入するまでのプロセスをステージに分類します。各ステージにおいて、顧客がどのような行動をするのか、どのような問題や課題があるのかを可視化します。例えば、商品やサービスについての情報が不足している、価格が高い、商品の特徴がわかりにくい、購入手続きが煩雑であるなどが挙げられます。
1. 意識 | 願望、欲求、悩み、不安など、ペルソナが持っている様々な感情に訴求するコンテンツを発信することで、手を止めて内容を見たり読んだりします。 |
2. 関心 | 願望、欲求、悩み、不安が解決できる商品やサービスであることを認識したら、後で内容を詳しく調べたいので、保存したり、スクリーンショットされます。 |
3. 調査 | 商品を発売している企業のサイトやSNSを中心に、すでに購入した人の投稿や口コミの評価について調べていきます。 |
4. 比較 | 調査をしてく中で類似品の存在が登場します。他の商品と違いや価格などについてさらに詳しく比較していきます。 |
5. 購入・契約 | 口コミの評価や販売元の内容に納得したら購入を決意します。購入方法や支払い金額などについて信頼できるかどうかも最終確認します。 |
6. 利用・サポート | 購入した商品やサービスについてSNSで投稿したり口コミで評価をする場合もあります。商品だけでなく、トラブルが発生した際の対応も大きく影響します。 |
7. リピート・ファン | 願望、欲求、悩み、不安が尽きることはなく、ライバルも商品開発をし続けています。愛用し続けてくれるためにバージョンアップしたり特別キャンペーンなどあるかどうかも重要です。 |
KPIとは顧客が最終ゴールである購入(KGI)をするために進むステップに対して目標数字を設定することです。例えば、100人に購入してもらいたいのであれば、1000人に認知してもらう必要があるなどです。その1000人の中からSNSであれば投稿の保存数が500人とか、無料登録の会員数300人などがKPIになります。
カスタマージャーニーのロードマップが完成したら運用を開始します。最初はスモールステップで様々なパターンを試してください。環境、状況、時期、内容は各社異なるため、他社の模倣や成功事例を真似しても成功はしません。皆さんの最適解は自分たちで発見するしかありません。デジタルマーケティングは数字でチェックすることができるので、KPIが達成できていない部分について課題や対策を議論しながら進めていきます。
まとめ
ペルソナの選定は一朝一夕で成るものではありません。少なからず時間とコストがかかってしまうのは無理からぬところです。しかし、その役割はビジネスシーンにおいてなくてはならないものです。理想の顧客像が明確になっていれば、マーケティング活動の意思決定という場面で計り知れない恩恵があります。
コンテンツマーケティングはコンテンツが命です。読んだ人間に「このコンテンツはまさに自分のためにある!」と思わせるには、ペルソナが必要不可欠です。多様化している現代のユーザーニーズにこたえるためにも、丁寧にしっかりとペルソナを作り込んでいきましょう。