観光地においては、民間企業とは異なり、自組織が有する資源のみ で観光商品・サービスを造成することは稀であり、多くの場合は自治体や地域の観光事業者と協業・共創しながら、観光商品・サービスを造成していくこととなります。それぞれの自治体や地域の観光事業者とともに個別具体的な商品・サービスを造成していく手順について確認していきます。
マーケティングミックスの基本
- ①マーケティングミックス(4P)
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マーケティングミックス(4P)とは、観光地が提供する商品・サービスの内容を決定する上で、検討すべき4つのマーケティング要素(=P)から構成される戦略検討フレームワークです。
STPでは、どのような市場を狙うべきかを定め、狙うべき市場における自地域の立ち位置を明確化しましたが、マーケティングミックスでは、STPで定めた自地域が狙うべき市場に刺さる商品・サービスのコンセプトを具体的に決定することが検討の目的となります。出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) 観光地におけるマーケティングミックスの考え方を図にすると、上図のような形となります。狙うべき市場へ効果的に商品・サービスを届けるためには、4P の間で整合性を取る必要があります。
効果的に 4Pを策定するためには、商品・サービスの内容及びコンセプト、ターゲットに適した価格設定、ターゲットに商品を届けるための販路設計、ターゲットに情報を届けるプロモーション手段の選定を整合させながら検討することが重要です。
- ②マーケティングミックスのポイント
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4Pは、観光地(売り手)側の視点に立ったプロダクトアウトの発想が強いフレームワークであるため、マーケットインの発想で商品・サービスを確認するためには、検討した4Pを観光客(買い手)側の視点に立って検証することが重要です。この時、4Pの検証に活用できるのが、4Pの裏返しとなるフレームワーク「4C」になります。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) 4Pを検討する際のポイントは、プロダクトアウトの発想で4Pだけで策定するではなく、4Cを活用して、マーケットインの発想で4Pの妥当性を検証することです。一度観光地側の視点を捨て、自身が一人の観光客であった場合に、4Pのそれぞれが刺さるかどうかを検討することで、精度の高い4Pを構築することができるようになります。
- ③フレームワーク(7P)
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観光地においては、形のないサービスの提供も多く行われます。こうしたサービスに特化したフレームワー クとして、4Pに要素を付け加えた 7Pというフレームワークも存在します。サービスの提供を検討する際には、 7Pのフレームワークを活用することも有効です。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) - ④Product(商品・サービス)
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一般的に観光商品・サービスは、観光客のニーズを満たすために市場に出るもの全てを指し、旅行商品のように旅行代理店やWebサイトに並べられているものだけではなく、観光地の現地で提供されるサービスなども含みます。
Product(商品・サービス)戦略とは、ターゲットに刺さる商品・サービスとするためには、どこに注力すべきかを検討することです。その際に①観光客が商品・サービスを利用することで得られるベネフィット(便益)、②商品・サービスの形態、③商品・サービスに付加する付随機能の3層に分けて検討すると整理がしやすいです。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) 商品・サービスの内容が 3 層構造になっていることを理解した上で、STPで定めたターゲットが、3層のうちどれを重視するのかを、アンケートや購買実績などから把握し、重視される層に注力した商品・サービス設計を行うことで、販売目標に近づけることができます。
- ⑤Price(価格)
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Price(価格)戦略とは、価格設定をどのように行うかという手法を検討することです。価格設定をどのように行うかという手法については、主に1コスト基準型の価格設定、2競合地域基準型の 価格設定、3需要基準型の価格設定の 3 つが存在します。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) 3つの手法のうち、トレンドが移り変わりやすく、地域によって扱う観光資源や商材が異なる観光地では、 需要基準型の価格設定を採用することが最も適しています。具体的には、過去の販売実績データや旅行者へ のアンケート調査を基に、旅行者が払ってもよいと考える金額を販売価格としていくこととなりますが、こうした需要データが存在しないことも考えられます。
このような場合には、まずは競合地域基準型の価格設定を採用し、他地域の価格を参考にして値付けを行った上で、実際の販売を通じて販売実績データや旅行者に対するアンケート調査を蓄積しながら、徐々に需要 基準型に移行していくことが望ましいと言えます。価格戦略で、需要基準型と競合地域基準型のどちらを採用するか決定したら、実際に商品・サービスの価格設定を行っていきます。
- ⑥Place(販路・提供場所)
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Place(販路・提供場所)戦略とは21、商品・サービスの性質を踏まえ、どのような販路・場所でターゲットに対して商品・サービスを提供していくかを検討することです。販路・提供場所の設計については、自地域の観光商品・サービスを旅行者に購入してもらえるよう、自地域独自の販売網・窓口や、旅行会社などの外部事業者を含む様々な販路を、どのように組み合わせるのがコストと効果の観点から最適かを検討することが重要です。 併せて、海外市場における活発な商品流通を推進するためには、海外の流通構造を把握した上での手法の検討と実施、 手法推進の前提となる海外の旅行代理店とのネットワーク構築が有用です。
販路・提供場所は、多ければ多いほど期待できる販売規模が大きくなるメリットがある一方で、それらを 跨いだ在庫管理の統制やブランドコントロール、データ収集・管理が難しくなるというデメリットもあるため、 特性を理解した上でどの程度広げるべきかを検討する必要があります。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) - ⑦Promotion(プロモーション)
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Promotion(プロモーション)戦略とは、商品・サービスをターゲットに伝える方法を検討することです。
商品・サービスを開発し、適切な価格設定を行い、顧客への販売体制を整えたとしても、商品・サービスの魅力を旅行者に伝えることができなければ、実際の購入には結び付きません。地域がターゲッ トに対して自地域の商品・サービスに関する情報や魅力を効果的に伝えるプロモーションは、極めて重要なものです。プロモーションを実施する際には、旅行者に「何を」「どのように」伝えるのかという観点からプロモーション戦略を策定することが重要です。ここでは、プロモーション戦略を策定する際のステップを解説します。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) ①はSTPのプロセスで定めたターゲットに連動して決定しますが、②でプロモーション目的を明確にするためには 、旅行者が来訪に至るまで の行動プロセスについて理解しておくことが重 要です 。旅行者の注目をひきつけるのか、訪問を促したいのかによって、活用すべきプロモーション手段は異なります。
また、②でプロモーション目的を明確にした上で、③で旅行者に呼びかけるメッセージを決定したら、④メッ セージを効果的に伝えるために「広告」「広報活動」「販売促進」「人的販売」「口コミ」の 5つのプロモー ション・ミックスを検討する必要があります。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) 上記のとおり、5つのプロモーション・ミックスはどれも異なる特性を持ち、実施目的も異なるため、どれか1つを行っていればよいというものではありません。自地域への認知を獲得し、興味・関心を促進し、来訪欲求を高めてもらい、実際に来訪してもらうためには、これらの手法をバランスよく取り入れていくことが不可欠です。
旅行者ニーズの捉え方
- ①旅行者ニーズの2つの捉え方
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Product(商品・サービス)戦略を基に「、売れる商品」を開発するためには、旅行者のニーズを的確に理解し、 ニーズを満たす商品を造成することがポイントとなります。ニーズには大きく「既に顕在化した旅行者ニーズ」 と、「旅行者が気付いていない潜在ニーズ」の 2種類が存在します。商品開発を行う上では、「A. 既に顕在化した旅行者ニーズに刺さる商品を開発する」、「B. 旅行者が気付いていない潜在ニーズを掘り起こし、 訴求する商品を開発する」という 2 つのアプローチが存在します。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) 2 つのアプローチには、それぞれメリットとデメリットがあり、それぞれ裏返しの関係となっています。Aは、データ収集・分析が比較的容易というメリットがある一方で、他地域にとってもデー タ収集・分析が容易であるため、類似した商品開発を行ってしまい競合が起こりやすいというデメリットがあります。反対に、Bは、潜在ニーズを把握するためのデータ収集・分析を行うのに委託費などのコストがかかるというデメリットがある一方で、商品開発時には他地域との競合を避けやすいメリットがあります
- ②既に顕在化した商品の開発
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既に顕在化した顧客ニーズに刺さる商品を開発する上では、STPで定めたターゲットのニーズを、過去に実施した調査の結果や、外部組織による調査の結果を基に洗い出し、ニーズを満たす可能性のある地域資源・商材を選定することがポイントとなりま す。その上で、地域資源・商材を管理・運営する自治体や事業者などの関係者の協力を得られるものをピックアップし、それらを組み合わせた新規商品の企画カード
(商品を構成する地域資源・商材、商品のコンセプト、行程などをまとめたもの)を作成します。 企画カードを作成することで、商品イメージについて関係者との意識合わせやブラッシュアップが容易になるため、商品を開発する上では、こうした目的を意識しながら企画カードを作成することが重要です。出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) - ③潜在ニーズを掘り起こす
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旅行者が気付いていない潜在ニーズを掘り起こし、訴求する商品を開発する際は、顕在ニーズに刺さる商 品を開発する場合と異なり、STP で定めたターゲットのニーズを日常面からの視点も含めて幅広に検討する ことがポイントとなります。観光地におけるアンケート調査では、主に非日常としての旅行・観光シーンのニーズしか収集できないのに対し、SNSの投稿データや検索エンジントレンドデータを活用することで、旅行者の日常シーンにおけるニー ズを把握することが可能となります。こうした日常シーンにお けるニーズを、旅という非日常シーンにおいて提供することができないかという視点で商品を造成することで、他地域との競合を避けながら新たな視点の 商品を造成することが可能です。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁)
価格設定の手法
- ①価格設定の手法
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ここでは、Price(価格)戦略に基づく価格設定の手法について解説します。観光地における価格設定は、基本的に需要基準型または競合地域基準型で行うこととなります。 具体的な 価格の相場については、個別の商品ごとに日々変動するため、絶えず旅行者の金銭感覚や相場感に関する情 報収集を行いながら決定していく必要がありますが、ここでは商品特性とターゲットに応じて異なる価格設定の2 つの手法について紹介します。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) 一般的に、商品・サービスの価格は一度決定したらその後固定するものではなく、提供までにかかるコストの変化や、旅行者の需要に応じて価格改定することが望ましいと言えます。しかし、商品特性やターゲットに応じて、価格改定に対する考え方は異なります。
例えば、商品特性として、在庫数の多い薄利多売の商品や、低価格帯の商品、自地域ならではの独自性が 低く、他地域でも類似商品が存在するマス向けの商品では、主なターゲットは一人当たりの消費額単価が低いマス層の旅行者や、来訪頻度が多い近場に居住する旅行者となります。こうした商品については、旅行者の需要に応じて柔軟に価格変更を行い、”お得さ ” や “ お値打ち感 ” を訴求していくことが有効となり、これが手法1となります。ただし、必ずしも値下げをしなければならないというわけではなく、旅行者の価格感 度を的確に捉えた上で、”お値打ち感 ” を維持しながら利益を確保するために値上げを行うことも選択肢に 入ります。
一方で、在庫数の少ない厚利少売の商品や、高価格帯の商品、他地域には真似できない独自価値を有す る高付加価値商品では、主なターゲットは一人当たりの消費額単価が高いアッパーマス層~富裕層の旅行者や、自地域への来訪頻度が低い遠方居住者となります。こうした商品については、極力値下げは行わず、”ブランド力 ” や“上質さ ” を訴求するために一定の価格帯を維持することが、商品価値を保つためのポイントとなり、これが手法②となります。
- ②高付加価値・高齢社会に向けた方法論
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商品・サービスは、既に紹介した 2 つの手法に則って考えることが望ましいと言えますが、昨今の日本の観 光業界においては、商品・サービスの質に対して価格設定が安価である傾向にあり、それにより観光事業者 が得られる収益が十分でない現状があります。コロナ禍において、観光業界を担う人材流出が加速した今、商品・ サービスの質に見合う十分な収益を上げ、得た収益を観光業界で働く人材に還元することは、持続的に観光 業界の担い手を確保していく観点からも非常に重要な課題です。
こうした課題を解決していくためにも、商品・サービスの高付加価値化・高価格化は非常に重要と言えます。価格設定の手法で紹介した、手法①のマス向け商品に関しては、高付加価値化・高価格化の全ての方法論が活用可能なため、上記の方法論を活用して価値・価格の向上が図れないかを検討する価値があります。また、手法②の高付加価値商品に関しては、方法論④から⑦の活用が可能です。こちらも、上記の方法論を活用して価値・価格のさらなる向上が図れないか、検討してみましょう。
販路の選び方
- ①リアルとデジタル
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販路には、リアルチャネル(旅行会社の窓口等)とデジタルチャネル(OTA 等)が存在し、それぞれ特徴が異なります。開発した商品をターゲットに対して的確に訴求するためには、それぞれの特性を把握し、自地域の商品コンセプトや提供可能な在庫数などに応じて使い分けをしていくことが重要です。
ただし、デジタルチャネルは購入者データの蓄積ができるものが多く、マーケティングを推進する上ではデ ジタルチャネルを効果的に活用し、データを集めていくことが重要になります。出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) - ②ターゲットに応じた販路の選び方
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販路を選ぶ上では、商品を届けたいターゲットの年齢層や、ターゲットの旅行形態(団体旅行か、個人旅行か) を基準にして、よく活用されるチャネルを選択することが有効です。どちらの基準で考えるかは、STPのプロセスで決定したターゲットによって適するものを選択していきます。
商品を安定して提供するためには、基本的にリアルチャネルだけ、デジタルチャネルだけを選択するのでは なく、複数の販路を組み合わせて販路設計をすることが理想的です。また、デジタルチャネルを活用する場合でも、旅行会社や OTA(Online Travel Agent)を介して販売した場合は旅行者データを取 得することが難しいため、データ活用を進めていくためには自地域 Webサイトの販売機能を高め、販売実 績データや旅行者データを収集していくことが重要になります。出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁)
プロモーションメディアの選び方
- ①プロモーションの流れ
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プロモーションを行う上では、ターゲットに伝えるべきメッセージとキャッチコピーを検討します。メッセー ジとキャッチコピーには、ターゲットに促したい意識変容・行動変容や地域の提供価値を盛り込みます。
次に、それらを効果的に呼びかけるためのメディアを選定し、メディアを組み合わせて動線を設計します。ター ゲットに意識の変容を起こさせたいのか、具体的な行動を促したいのかにより、効果的なメディアの選び方やメディアを組み合わせた動線設計の仕方は異なります。
メディアを決定したら、訴求効果を最大化するようなクリエイティブの作成に進みます。 画像コンテンツ、動画コンテンツ、テキストコンテンツなど、訴求内容によってどのようなクリエイティブを採用すべきかが異なるため、最適なメディアを選びましょう。
クリエイティブを決定したら、施策としての KPI を設定し、実際のプロモーションを実施します。KPI は、ター ゲットに促したい意識変容・行動変容を起点に検討するとよいでしょう。 - ②ターゲットへのメッセージ
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プロモーションを行う上では、ターゲットに促したい意識変容や行動変容は何なのかを定め、意識変容や行動変容を訴えかける具体的なメッセージを検討します。例えば、自地域における旅 行需要の平準化を図りたいと考えた場合には、「平日に○○県(××市)を訪れよう !」というメッセージが生まれます。
メッセージを考える際には、地域のKSFを起点に考えると、具体的な検討がしやすくなります。地域のKGIを達成するために、重要な要因と考えられるものを洗い出し、ターゲットに意識変容や 行動変容を促します。
メッセージが決まったら、ターゲットに的確に伝えるためのキャッチコピーを検討します。キャッチコピーは、ターゲットの意識変容や行動変容を促すために地域が提供できる価値を端的に表現しながら、分かりやすく、 短くまとまったものである必要があります。出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) - ③メッセージに適したメディアの選定
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ターゲットに促したい意識変容・行動変容を起点として、最適なメディアを選定します。意識変容・行動変容という目的によって適しているメディアは異なるため、プロモーションの目的に応じてメディアを使 い分け、また組み合わせること(= メディアミックス)が重要です。メディアには、自地域で保有するオウンド メディア、ユーザーや 4 大マスメディアなど第3者による表現で獲得するアーンドメディア、広告代理店等の 外部の事業者に対価を支払う必要のあるペイドメディアの3種類が存在するため、これらを組み合わせながらメディアを選定することが有効です。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) - ④プロモーションの動線設計
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観光地がリアルプロモーションを行う際は、多くの場合、マスメディアやそのほかのリアルメディアを活用してターゲットに情報発信を行ったところでプロモーションが完了してしまうため、その後実際にどの程度、地域 の商品・サービスが売れたのかという情報は把握できません。
一方で、デジタルプロモーションを行う際は、複数のインターネットメディアを組み合わせて情報を発信するだけでなく、DMOのWeb サイトや EC サイトへ誘導して商品の購入まで繋げることで、商品開発やプロ モーションの効果検証を行うことができます。このため、近年では観光デジタルマーケティングの手法として、 インターネットメディアを活用したプロモーションが注目されています。
インターネットメディアを活用してプロモーションを行う際には、カスタマージャーニーに沿った誘導動線の設計が欠かせません。カスタマージャーニーマップにより、ターゲットが商品購入や旅行予約を行う際の動きを想像しながらプロモーションプランを構築して、活用するプロモーション媒体を選定し、それらを連携させ ていくことが、プロモーション成功のポイントです。出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) - ⑤クリエイティブの作成
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プロモーションの訴求効果を最大化するためには、メッセージを的確に伝えられるクリエイティブの作成が 不可欠です。例えば、認知度向上を主眼とする場合には視覚的に強い印象を与えられる動画を活用する、比較・ 検討時の後押しをする場合にはキャンペーン情報を伝えられる画像・テキストを活用するなど、目的に応じて クリエイティブを検討することが重要です。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁)
施策の効果測定の考え方
施策を実施する際の効果測定については、売り込む商品・サービスが、開発したばかりでこれから売り出していくべきもの(導入期)なのか、既に一定程度売れていてこれからさらに伸ばしていくべきもの(成長期・ 成熟期)なのかによって重視すべき点が異なります。
![](https://cevsty.com/wp-content/uploads/2023/01/B2FD6BF9-176A-421D-8182-71ED33C3B8DE-1024x729.jpeg)
また、成長期・成熟期の商品・サービスでは、導入期に重視した評価項目を拡充してくことが重要になります。
![](https://cevsty.com/wp-content/uploads/2023/01/C208EE17-DD6D-4566-98B6-D7017C7688CB-1024x636.jpeg)
目標の重要性と設定方法
- ①KGI、KSF、KPIとは
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商品造成やプロモーションなどの施策を実行していくに当たっては、観光地域マーケティング戦略(STP) やマーケティングミックス(4P)とも連動しながら、適切な目標設定と効果測定を行うことが重要となります。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) ①のKGIは、重要目標達成指標とも呼ばれ、地域が目指す最終的な数値目標を表すものです。地域 全体で目指すべき目標については、一般的に自治体が策定する観光計画においても示されるため、KGI はこうした計画と連動する関係性にあります。
次に、②のKSFは、重要成功要因とも呼ばれ、KGI を達成するために必要となる要因を定性的に表すも のです。①のKGIでは「どのような地域のビジョンを目指したいか」を定めたのに対し、②のKSFでは「ビジョ ンを実現するためにどのようなターゲットを呼び込み、ターゲットに対してどのような施策を行う必要があるか」 などの要因を洗い出します。これは観光地域マーケティング戦略と連動するものであり、観光地域マーケティ ング戦略を踏まえてKSF を定めていくのが望ましいと言えます。①のKGI は、数年間のスパンで中長期的に達成を目指すべき指標であり、数値目標の評価・見直しは年次 で行っていくことが妥当です。一方で、②のKSFと③のKPIについては、短期的または中期的に評価を行い ながら随時見直すことが望ましく、月次または四半期のスパンで評価・見直しを行っていくとよいです。
- ②目標設定と役割分担
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KGI、KSF、KPIを設定する目的は、施策の PDCAサイクルを構築し、実践することにあります。地域全 体で目指すべき目標は何なのか(KGI)、どのような要因が必要となるのか(KSF)、要因を実現するために実 施すべき施策は何なのか(KPI)をしっかりと定め、計測していくことで、目標達成に向けた課題点の整理や改善策のアクションが明確となります。
観光地では、旅行者の誘客や、地域内での消費促進、ファン化のためには数多くの施策が実施されるため、 それぞれの施策が何を目指しているのかという点が曖昧になってしまうことが多々あります。そうした事態を防 ぐためにも、観光地における KGI、KSF、KPI 間の関係性を理解した上で、施策別に的確な KPIを立てながら施策を実施していくことが重要となります。さらに、施策を実施しながら、STPで定めたターゲット旅行者層と、実際に施策に反応した旅行者層との比較を行い、STPを見直していくことも重要です。
出典:観光地域マーケティング戦略(観光庁) - ③目標設定の手順
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目標設定を行う際には、まず地域のビジョンを基に、KGIを策定します。その後KGI 達成のための鍵となる要因を洗い出し、KSFとして設定します。さらに、KSFを定量化した各施策の数値目標をKPIとして設定します。