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🟦 こんな方へオススメ
- 競争相手が多い業界
- 新規参入を検討している
- これから競合が増えてくる
🟦 習得内容
- 競争に勝てるかどうかの分析
- 続行か撤退かの判断基準
- 生き残るためのポイント
レッスン内容
ファイブフォース分析とは
ファイブフォース分析は、新規参入しても勝ち残れるのかどうかを判断できるために分析するフレームワークです。市場の成熟化や価値観の多様化によって、競争が激化し、製品やサービスのライフサイクルが短くなっています。そのような中へ新規参入するには、業界の収益構造を知る必要があります。ここでは、新規で参入したり新しいプロジェクトを立ち上げる前に、収益が見込めれるかどうかを判断するファイブフォース分析についてご紹介します。
ファイブフォース(5フォース)分析とは、競合各社や業界全体の状況と収益構造を明らかにし、その中で自社の利益の上げやすさを分析するフレームワークです。新規参入や新製品開発、新ブランドの立ち上げ時などに、収益性を検証するのに役立ちます。どのような壁があるのかを知るために使われるのがファイブフォース分析です。この方法は、アメリカの経営学者であるマイケル・ポーター氏が提唱したものです。
1)カスタマーの交渉力
顧客の交渉力とは、顧客と自社との間にある力関係を指します。競合が多く価格競争が激しくなれば自社の収益性は落ちていきます。ここでは、市場規模や競合他社の状況とともに、自社製品の値下げ幅も含めた価格設定などがポイントになります。顧客と自社の力関係は適切か、無理な値引き競争に陥っていないかなどをチェックします。
- |需要と供給のバランス
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供給過多になっている商品を販売しても、自社から売れる数は期待できません。同じ商品を複数の会社が販売している場合、顧客は価格が安い会社を選ぶ傾向が強いです。「どれくらいの需要があるのか」と「どれくらいの供給量があるのか」は、事前のチェックが必要です。
- |差別化のしやすさ
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差別化しにくい商品は、似ている商品と価格競争になりやすいです。購入者はより安い商品にスイッチします。価格競争になることを前提に勝負するか、差別化して長期で販売したいのかなどを決める際の参考にしましょう。
- |価格設定の自由度
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価格の縛りがない場合、自ら価格競争を起こす企業が必ず現れます。業界が価格設定に対して、どのような姿勢なのか明確にしましょう。
- |大企業の独占状況
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少ない需要の中で、いくつかの大企業が参入していると価格競争になります。大企業同士が供給過多の業界内で顧客を奪い合うからです。
2)サプライヤーの交渉力
サプライヤーの交渉力とは、サプライヤーと自社との力関係を示します。メーカーであれば原材料のサプライヤー、販社であれば卸しを行う企業との関係から収益性を測る部分です。これは、自社とカスターとの関係と同じで、同質・同価格の物を扱うサプライヤーが多ければ自社の力は高まりますが、逆になればサプライヤーが力を持ちます。市場規模のほか、サプライヤーの数や力関係、供給元を乗り換える際のコストなどがポイントになります。
- |原材料の需要と供給のバランス
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業界全体で原材料の供給が追いついていなければ、サプライヤーは販売価格を上げます。仕入れ値が上がってしまうと、自社商品の値段も上げなければなりません。
- |特別な素材を使っているのか
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商品に特別な素材を使っている場合、レアな素材を卸しているサプライヤーは高値で販売するでしょう。なぜなら、販売者からすると競合が持っていない商品を販売できており、価値を高めているからです。
- |仕入れコストを比較しやすいか
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貴重な素材かつクローズドな状況で販売活動を行うサプライヤーは、値段設定が高くなりがちです。販売価格や詳細が外に漏れにくいため、自社への依存度を上げやすくなります。
3)競合他社の競争力
どんな業界であっても、競合があれば収益性が下がるのは当然のことです。企業としては、独自性の高い製品やサービスを生み出し、他社との差別化を図りますが、特許などで守られたケースは別として、ユニークな製品を作り出すのは簡単ではありません。競合社が増えれば増えるほど、競争は激しくなります。また、業界そのものの規模が小さい、あるいは低成長状態であれば、製品やサービスの供給側が飽和状態になってしまい、ますます競争が激化して収益性が落ちてしまいます。ここで分析すべきは、自社も含めた競合各社の数と各社の知名度やブランド力、資金力です。さらに、業界全体の規模や成長率も分析対象となります。
- |競合他社の数
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競合他社の数が多いほど、自社の利益の取り分は少なくなる傾向にあります。その業界で売上を占める大手や企業数やブランドのある企業がどこなのかをリサーチしていきます。
- |ランニングコストの高さ
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ランニングコストが高いほど、たくさん商品を売らなければもとが取れません。資金力がない企業は、大手に力負けする可能性が高いです。
- |初期投資
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高額な初期投資が必要な業界や社会的に認知度や地域への貢献度が高い業界は撤退しづらいです。どれぐらいの費用が発生するのか調べておく必要があります。
4)新規参入の脅威
新規参入がしやすいかどうかは、業界によって大きく異なります。異業種からの参入のハードルが低ければ、今後も多くの参入者が現れて価格競争が起こり、その度に収益性が下がっていくことになります。反対に、参入のハードルが高ければ、一定以上の収益性を確保できる魅力的な業界と見ることができます。
- |ルールに縛られていないか
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業界自体の法規制やルールが厳しい場合、新規参入しにくいと言えます。製薬業界は新規参入しづらい良い例です。逆にIT業界は歴史が浅いため、ルールもそこまで厳しくありません。一般的に自由度が高いほど参入しやすいですが、競合も増えやすいため不安定になりやすいと言えます。
- |真似しやすさ
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商品自体が真似しやすければ、新規参入する企業も増えやすいです。製造方法、素材、マーケティング方法などで差別化ポイントを検討しましょう。「真似しやすい商品」は、資金力のある大企業に軍配が上がります。なぜなら大量生産により、単価を下げられるからです。新規参入する際は、ユニークポイントを明確にしましょう。
- |販売チャネルの作りやすさ
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販売チャネルをかんたんに作れる場合、新規参入者は増えやすいです。無料会員登録のみで商品を出品できるメルカリと、現実世界のフリーマーケットでは「参入しやすさ」が全く違いまうことが分かるでしょう。「どんな販路があるか」と「その販路で売るための障壁」を分析してみてください。新規参入しやすいかは、メリットでありデメリットにもなります。
5)代替商品の脅威
代替品と自社製品との質的な違いやコストの差のほか、代替品へ乗り換える際の手間やコストなどを分析します。自社の物よりも低価格で高品質な代替品が現れれば、それは自社だけでなく業界全体の収益をおびやかす大きな脅威となります。
- |代替商品のバリエーション
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代替商品の選択肢が豊富な場合、比較対象がたくさんあるため価格が下がりやすいです。メインの「食事」という目的以外にも、場所や価格帯なども商品やサービスを利用する価値になるでしょう。顧客が感じる価値を視点に、代替商品のバリエーションをリストアップしてみてください。代替商品自体の数はもちろんですが、価値のバリエーションを把握しておくことも非常に大切です。
- |代替商品の安さ
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代替商品が自社商品より安ければ、競合に負けてしまう原因になるでしょう。真似されやすい商品になるほど安い商品が選ばれやすいです。機能や所有感に変わりがないのなら、より安い商品を選ぶのは当然と言えます。最安商品と最高値の商品を比較し、各競合の値段設定について理解を深めましょう。自社の戦略を立てる際の参考になります。
- |代替商品を扱う企業の規模
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代替商品を扱う企業が大企業の場合、自社の利益は減りやすいです。大企業は宣伝費をかけて認知度を高めたり、大量生産で単価を下げることもできます。どんな企業が代替商品を扱っているかチェックしてみてください。
5Fの活用方法
ファイブフォース分析は、自社をとりまく5つの脅威を分析によって明らかにするものです。そのため、企業の社内外に存在するプラスとマイナスを分析する「SWOT分析」の前段階として利用することもできます。
ファイブフォース分析で得られる収益性のプラスマイナスを反映させれば、より詳細なSWOT分析が可能になり、精度の高いマーケティング戦略へと落とし込むことができるでしょう。マーケティング分野には数多くの分析法がありますが、万能の分析法はありません。ですから、目的によって複数の手法を使い分け、さまざまな視点から分析することで、結果の精度を高めていくことが大切なのです。
まとめ
業界の競争環境や収益構造を分析するこの手法は、新商品の開発や新事業への参入だけでなく、現状の自社のポジションを把握し、改善を図る場合にも有用です。脅威を必要以上に恐れるのではなく、その本質を知った上で冷静な対策へと結びつけることができるからです。「がんばってはいるが、思うような展開にならない」というのは、ビジネスではよくある場面です。そのようなときにもファイブフォース分析を活用してみてはいかがでしょうか。