これからのビジネスに必須な人材
クリエイティブマーケター
🟦 こんな方へオススメ
- 他社との競合を避けたい
- ブルーオーシャンを探している
- 自分たちが勝負できる場所はどこか
🟦 習得内容
- セグメンテーションとは
- ポジショニングとは
- ターゲティングとは
レッスン内容
STP分析とは
競合が多い業界内で、自社がどういう商品・サービスを提供し、顧客に対しどのようにアプローチすべきか、明確化する際に活用できるのがSTP分析になります。STP分析により、業界内でどのようなマーケティング戦略が有効かを把握できるので、新規の市場を開拓する際に勝ち筋を見出せます。また、推進中の既存事業を改善する上で、適切な戦略が取れているかを判断するのにも役立ちます。
STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション|市場を細分化する)、Targeting(ターゲティング|狙うべき市場を決める)、Positioning(ポジショニング|自社の立ち位置を見極める)の3つを軸に分析するマーケティングのフレームワークで、。マーケティング論で知られるフィリップ・コトラーが提唱したものです。
新たにビジネスを展開するにあたって、自社そのものや販売する商品・サービスなどの立ち位置を明確にすることは必要不可欠です。ここで常に意識したいポイントは「ユーザー目線」。ユーザーの行動を客観的に把握し、それに応じた事業展開を行うことが、STP分析をより有意義にする秘訣です。
STP分析は、マスマーケティングの時代が終わり、顧客ニーズの移り変わりが激しい現代でよく使われるマーケティングフレームワークです。 価格競争を避けるために、ターゲットとする市場を明確にし、製品やサービスの差別化を図る、顧客志向のマーケティング手法と言えます。
STP分析のメリット
ビジネスモデルを構築するにあたって、具体的なユーザー像、つまりペルソナを想定することは必須です。SPT分析では、セグメンテーションなどを通して、具体的なペルソナ設定を行うための土台となる「どのようなユーザーがどの程度どの市場に存在しているか」を整理できます。
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを行うことで、どのようなユーザーにどのようなポジションから商品・サービスをアピールしていくのか、というプロモーション戦略を明確にできます。組織やチームのメンバーがプロモーション戦略に共通認識を持つことは、短期間で効率よく認知を広げていく上では欠かせません。STP分析を行えば、わかりやすく言語化された戦略をメンバー全員に浸透させやすくなります。
ビジネスにおいて、競合の存在は把握しておかなければいけません。例えば、優れた商品・サービスを提供しているとしても、すでに大手にシェアを取られていて巻き返しができない、といった場合もあり得ます。STP分析を行えば、競合の存在を把握し、自社が戦えるポジションを明確にして位置取りができます。
STP分析での注意点
STP分析を行って最適な市場を見つけたとしても、市場のユーザーに自社の商品やサービスそのものはもちろん、その魅力が伝わらなければ、当然売上は伸び悩みます。
STP分析は、あくまでターゲットを絞り、自社の立ち位置を確認するためのフレームワークです。販売方法などは、他のフレームワークを活用するなどして考えなければいけません。STP分析のみで満足せず、多角的な視点から考えるようにしましょう。
STP分析で最適なポジションを見つけたとしても、そのポジションが必ず正しいとは限りません。マーケットが極端に小さい場合や先細りする可能性が大きい場合などは、ビジネスの展開方法を工夫する必要があるからです。
導き出した市場が本当に適切かどうか、別の角度から調査したデータなどで確認することをオススメします。
セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つの項目は連動していますので、どこの項目から分析を開始しても結果に大きな違いはありません。まずは着手しやすい項目から始めてください。
どの項目から行えばよいか迷う場合は、ユーザーの全体像を把握するためにもセグメンテーションから始めてみましょう。
STP分析の前準備
それぞれ3つの視点で分析を行う前に、そもそもこれから行う事業の目的や目標を明確にしておく必要があります。壮大な目標にしてしまうと、調査時間がかかり、範囲も広くなります。ある程度的を絞って設定してください。
どんな事業にも果たすべき目的、目指すべきゴールが存在します。まずは自社の事業が何のためにビジネスを推進しているのか、何を達成すれば良いのか、明確に言語化しましょう。
STP分析は観点次第でさまざまな結論が考えられます。事業の目的とゴールを明確にしていれば、複数の選択肢の中で、自社が本当に狙うべき顧客企業やアプローチ方法にたどり着けます。
事業の目的とゴールに加えて、現状どんな商品・サービスを提供しているのかを把握しましょう。
その商品・サービスが、どの企業の、どんな悩みを、どのように解決するものなのか、言語化するようにしてください。
STP分析では、最終的に自社がどんな価値を提供するかを結論づけます。今ある自社の商品・サービスはそのまま使えるのか、一から企画し直す必要があるのかを検討する際に、ここでの把握が大きな意味を成します。
セグメンテーション
セグメンテーションとは、市場をある切り口に従って切り分けて細分化することを言います。その目的は、細分化したマーケットの一部をターゲットとして戦略的に投資をすることで、競合他社に対して優位性を築くことにあります。
例えば、新しい髭剃りを販売すると仮定します。髭剃りを使用するのは主に男性のみですので、ここでは「性別」でセグメーションを行ったことになります。また、髭剃りを中学生以下の男性が使用するケースは、極めて低いため、これは「年齢」の基準でセグメンテーションを行います。このように、さまざまな指標を用いて市場を分ける作業を行うことで、自社が提供する商品やサービスを本当に必要としているのはどのようなユーザーなのか、明確にしていく作業がセグメンテーションです。
市場を細分化する切り口
市場を切り分ける切り口は、購買者のニーズを探して、自社(提供側)の視点を組み合わせて考えることが重要になります。市場を細分化する切り口は主に4つあります。
🟧 属性(デモグラフィック) | 年齢・性別・家族構成・学歴・職歴など、人の変わらない基本情報を基にしたセグメント指標です。統計調査などを基に判断します。 |
🟧 行動(ビヘイビアル) | 買い物の頻度・買い替えのタイミング・使用用途などといった個人の行動に焦点を当てた情報を使ったセグメント指標です。ユーザーの行動追跡データなどを基に判断します。 |
🟧 地理(ジオグラフィック) | 国・市町村・気候・文化・宗教など、地理的要因に絡む情報を基にしたセグメント指標です。地図や国の調査結果などを参考に判断します。 |
🟧 心理(サイコグラフィック) | 価値観・性格・ライフスタイル・購入動機、などといった個人の心理に基づく情報を使ったセグメント指標です。アンケート調査やヒアリングなどを行った結果を基に判断します。 |
ターゲティング
市場を定めるポイントは、細分化した市場の中で、「規模が大きく成長中の市場であり、かつ競合企業も少なく、顧客企業のニーズが見込まれる」部分を見つけ出すことです。そうしなければ、大手旅行会社や国内の名所に顧客を奪われてしまうからです。市場を設定する前にもう一度6つの項目についてチェックしておきましょう。
🟧 潜在顧客はいるのか? | 市場規模がビジネスとして成り立つだけの潜在顧客がいるかどうか。一般的には規模が大きい方がビジネス拡大のチャンスもありますが、その分ライバル企業も多くなります。 |
🟧 商品へのニーズがあるのか? | ターゲットとなる顧客企業が自社の商品・サービスに関心を持ち、優先して手に取ろうとしてくれるのか、という観点。 |
🟧 競合他社どれだけある? | 市場にどれぐらいの競合他社にいるのか、という観点。競合が多ければ多いほど自社の商品・サービスが目に留まりにくい。市場規模うや成長率とも関係性のある項目。 |
🟧 顧客はまだ増えそうか? | 市場がどれだけ成長しているのか、という観点。成長期で認知度も上がっている市場は、最も事業参入がしやすい時期であるとされる。 |
🟧 認知させれるのか? | ターゲットとなる顧客に対して自社の商品・サービスを提供する上で、商品やサービスについて認知してもらうことができるかどうか。物理的距離やネット環境下にある否か等が関係する。 |
🟧 顧客の反応は確認できるのか? | 販促の効果を測定できるのか、という観点。顧客からの反応を調べることで、次への戦略を立てることができます。顧客からの反応が把握できるかどうか。 |
ターゲットを絞る目安
市場を定める上で実践する選択肢として、3つのマーケティング手法があります。自社の企業規模や競合の状況により取りうる手段が変わりますので、ターゲティングの観点とあわせておさえておきましょう。
🟧 無差別型 | セグメントされた市場間の違いを無視して、同じ商品をすべての市場に供給する手法です。一般的に大企業に多い手法で、食料品などが該当します。 |
🟧 差別型 | 複数のセグメントされた市場に、それぞれのニーズにあった商品やサービスを提供する手法です。複数の料金タイプの設定、似たジャンルの商品を機能を変えて販売するなど、多くの企業で採用されています。 |
🟧 集中型 | 1つ、もしくはごく限られた市場に集中してマーケティングを行う手法です。高級メーカーやニッチな商材を販売しているなど、コアなファンを抱える企業によく見られるパターンです。 |
ポジショニングとは
ポジショニングとは、ターゲット市場において、自社が他社よりも優位に立てる位置付けを見出すことです。自社がとったポジショニングは市場に認知され始めて意味をなします。ポジショニングを行う上で大切なのことは、競合と比較する軸を持つこと。値段や、品質、店舗数、販売チャネルなど、多くの指標の中から必要なものを選び、競合と比較します。
ニーズのある市場でも、例えばすでに大手が進出している場合は、一般的にはそこで大きな利益を出すことは難しい傾向にあります。しかし、すでに進出している大手にはない要素で差別化できれば、レッドオーシャンでも利益を得られる場合もあるでしょう。ポジショニングに設定する前に、3つのポイントをチェックするようにしてください。
🟧 顧客のニーズを満たすものか | 他社を意識しすぎて差別化したポジション設定にニーズがなければ失敗する可能性が高くなります。ポジショニングマップを活用する際も、顧客が商品を決定する上で重要視する要素を軸にした上で、需要の有無や大きさについても必ず意識しておきましょう。 |
🟧 自社の理念や戦略との整合性 | 高級品としてブランディングされているのにも関わらず、価格設定を低くするポジショニングは、会社の理念や製品との一貫性がなくなってしまいます。そのため、ブランドイメージを損ねたり、既存客の失う可能性があります。差別化や顧客ニーズも大切ですが、自社の理念や戦略も考慮しておきましょう。 |
🟧 相関性が低い軸を設定する | ポジショニングマップで、「価格」と「性能」を軸にしてしまうと、相関性が高くなるため、軸として適切ではありません。価格が高くなるにつれて性能が良くなることは当然だからです。 |
ポジショニングの手順
ポジションニングは、STP分析における最後のプロセスになるため、セグメンテーションとターゲティングを済ませておく必要があります。ポジションニングの手順として最もポピュラーなのは、「ポジショニングマップ」になります。
1つ目の軸は、顧客に対して自社が持つ競争優位点を訴求できるポイントを複数リストアップします。2つ目の軸は、競合と差別化できるポイントをリストアップします。競合に対して優位性が高くても、顧客のニーズに照らし合わせることを忘れないようにしてください。その際、2つの軸が相関関係でないように設定することが重要です。
- 料理の種類
- 価格
- 料理の量や大きさ
- 特別な食材
- お店の場所
- 店内のレイアウト
- 客層の年齢や属性
2つの軸を設定したら、ターゲット市場でライバルとしてピックアップした競合店を配置していきます。直接的なライバルだけでなく、大手やチェーン店なども配置することで、分布図の精度を上げていきましょう。
これからの市場で有利になれるポジションを検討していきます。マップ上で空白になっている箇所は、競合他社が着手していない領域なので、差別化しやすくなり、独自の価値を提供しやすくなります、
STP分析の例
ホテルを営むジャパン株式会社で新規客を増やすための会議が行われた際、これまでは国内向けの商品やサービスを展開していたが、インバウンドが増加しているニュースを見たスタッフから、海外旅行者向けに新たな顧客を開拓するのはどうか、との提案があった。
確かに先日のニュースでもインバウンドが多いことが報道されていたが、、そもそもどれぐらいの観光客が日本へ来ているのかを調査するところから始めた。
インバウンドに関して、どれぐらいの人数が旅行しているのか、どこの国の人が多いのか、何の目的で旅行に来ているのか、などの様々なデータを分析した結果、国内市場よりも外国人旅行客にチャンスがあることが判明。国内ではなくインバウンドの市場に絞って、さらにターゲット層を見つけ出すことにした。
下記の報道番組によって、インバウンドの女性が日本でやりたいことを把握することができた。この報道だけでは弱いので、SNSのハッシュタグで検索して、人気ぶりを確認した。
飲食店でパンケーキにした場合、縦軸を「単品払い・食べ放題」にして、横軸を「日本文化が強い・日本文化が弱い」にしました。リサーチした競合店をポジショニングマップに配置したところ、単品申し込みがほとんどでした。今回ターゲット層を日本アニメが好きなインバウンドの若い女性にしたので、「日本文化が強く食べ放題ができるパンケーキ」の領域を攻めることにしました。これから、これまで販売してきたパンケーキを食べ放題にして、日本文化を強く打ち出せる商品開発を企画していきます。
まとめ
いかにして自社が優位な立場を取るかをマーケティングでは重視しています。セグメンテーションでは所得や年齢などの要素で市場を切り分け、その中でターゲットとする市場を決めていきます。その市場に対してポジショニングを取っていくことが重要になります。
STP分析をすることで、市場の規模や潜在顧客の存在、顧客の需要や競合他社に関する情報をまとめることができます。それらの情報をもとに、現在の商品やサービスが優位になるマーケットを狙うのか、それとも自社の資源を活用して、新商品の開発や企画に役立たせることができます。
ターゲットとなる顧客に対し、自社がどの商品・サービスで、どのようにアプローチすると良いか、マーケティング施策の検討まで進めていきます。また、自社がいま提供している商品・サービスを振り返り、大きく路線変更が必要か否かも判断が必要です。アプローチ方法については、自社の強み・弱みをもとに検討する「SWOT分析」や、マーケティングの構成要素である「4P分析」を併用すると、より効果的な方法を導けます。